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「お客様」というカテゴリがありつつも、人さまの検索を晒すのはあんま趣味のいい話じゃないな、とやや自粛していたのだけど、とはいえ、あるキーワードでここに来てくれても、それらに関する有益な情報はいっさい得られていないであろうので、それも申し訳なく、ここにそうした瑕疵を補填しつつも、ネタにする次第。ちなみに、お答えする範囲は、昨日と今日のものからごく一部、ということで。

  • クリティカル・リーガル
    これは、「クリティカル・リーガル・スタディーズ」のことでしょうな。検索結果ではこのエントリがヒット。で、「クリティカル・リーガル・スタディーズ」というのは、各方面から「ちがう!」という罵声が投げかけられる覚悟で言えば、「ポストモダン法哲学」、つまり、「法」というものの存立根拠やその機構を、いわゆる「ポストモダニズム」、とくにフーコーやデリダなんかを参照しつつ論じる、というもの。入門書、というか、「クリティカル・リーガル・スタディーズ」というものを、通常よりぐぐっと「ポストモダン思想」と呼ばれるもののほうに引きつけて語った論集として、Legal Studies As Cultural Studies なんかがおもしろかった覚えがあります(ただ、読んだのが10年以上前なので、いま読むとどう思うか、ちょっとよく分からないところがありますが)。単著としてはやっぱりアルトマンのこれかな。
  • システム手帳 A5かバイブル
    このエントリが該当。おれにとっては、「システム手帳」というか、「手帳」なるもの自体があまり向いていないらしく、けっきょく「帳面」と言ったほうがいいようなMead社のものを愛用していますが、いまとなって考えると、「いろいろと書込めたほうがいいから、やっぱりでかいほうがいいよな」という欲張りを発揮するより、携行性を重視してちっちゃいサイズ、つまりA5とかのほうが最終的にはよく利用するのではないか、とも思います。まあ、ともあれ、どういうことがしたいか、によりますね。
  • 可能世界 批判
    これも、「可能世界」の批判とはちょくせつに関わらないこのエントリが該当。で、可能世界に対する批判を考えるために、まず、何ゆえにそれが擁護されているか、ということから考えると、ひとつには、ジェイムズ=クワイン流のプラグマティズム、つまり、「理論における妥当性というのは、その有用さで判断されるべきだ」という伝統があると思うんですね(たとえば、「可能世界と言えばこの人」といった感じすらあるデイヴィド・ルイスの『世界の複数性について』劈頭などを参照)。こうした、プラグマティズムに端を発する可能世界擁護に対して、たとえば「オッカムのかみそり」などを持ち出して、理論の最節約性、つまり、その「エレガンスさ」を基準に批判しても、ほとんど効果がない、と思われます。となると、可能世界論の批判者が、その擁護者に対して言うべきことは、「いや、可能世界を仮定しても、たいして見通しはよくなんないよ」ということでしょう。でも、これはなかなかむずかしい。たしかに、「可算無限個の可能世界」なぞというものを想定してしまうことは、ちょっと概念がインフレ起こしすぎだよ、と思いますけどね。
  • ゲーデル 俗物
    これは、あれですか、ゲーデルが踊り子さんと結婚したとか、そういうことから? まあ、ゲーデルがほんとうに「俗物」であろうと何だろうと、彼の為した業績にはいっさい何の関係もないですからね。もっとも、そういう「俗物」であることと、そうした業績の創造ということとの相関を探りたいなら、話は別ですが。該当エントリは、これ
  • フリージャズ デリダ
    これは、デリダがオーネット・コールマンのステージで自分の書きものを読んだっていう、それかな? これって果たして音源化されてるんだろうか? だとしたら、聴いてみたい。自分で探すのも億劫なんで、誰か教えてください(って、もはや「答える」んではなく、自分が質問しはじめたぞ!)。
  • 禁煙うつ 自殺
    禁煙ってのは、おれの理解がまちがっていなければ、そもそも「健康」とかそういうことのためにする、んですよね? で、「健康」ってものには、まあたぶん、「長生き」も含まれている。それなのに、禁煙したがゆえにうつになっちゃって、あまつさえ自殺しちゃったなんつったら、本末転倒もいいとこ、ですよね。だから、もしそういう状態になりそうだったら、一も二もなく、禁煙を即刻中止すべき、ですよ。で、該当エントリは、言うまでもなくこれ
  • 当為 対義語
    たんじゅんに「恣意」ではないかと(ちがうのかな?)。該当エントリは、なぜだかこれ
  • カント うそ
    これはやっぱり、カントの定言命法がらみでのこと、ですかね? だとすると、カントの「うそ」に関する話題で、おれがいちばんいい(分かりやすい)と思うのは、カント1797年の論文「良心からうそをつく、正しいとされている権利について」(ケンブリッジ版カント英訳著作集『実践哲学』の巻に所収)に出てくる「殺し屋」の話、ですね。この話、かいつまんで言うと、たとえば、あなたのところにある人が「殺し屋に追われているからかくまってくれ!」と言ってきたとする。あなたは、(定言命法の教えるところによって?)その人を当然かくまう。すると、遅れて当の殺し屋もあなたのところにやってきて、「〜はここにいねえか!」とあなたに詰問する。そのとき、あなたはこの詰問に対しても、うそをついて「いや、いませんよ」と言ってはならない。何となれば、あなたがかくまったその人は、家の裏口からすでに別なところに逃亡済みで、あなたが殺し屋にうそをついたがゆえに、ばったりとその人と殺し屋が道で出くわしてしまう、そういうことだってありうるから、あなたが殺し屋にほんとうのことを言うことと、あなたがかくまった人が殺し屋の手にかかってしまうことの結びつきは、言うなれば蓋然的であって、そうであれば、この場合でもあなたは、定言命法の求めるところにより、うそをついてはならない……と、こんな感じなんですが、しかし、この話を別の方面から見ると、「殺し屋に追われているその人をかくまう」ということに、「あなた」は同意したわけで、となると、その「殺し屋」に「ほんとうのことを言う」のは、ひるがえって「殺し屋に追われている人」に対する「裏切り」になりはしまいか?という疑問が浮かびますよね。このあたり、じっくり考えてみたいものです。



すぐに終わる「お手軽エントリ」のつもりだったのに、ああ、思いのほか書いちゃったよ……。

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私の方でお祝いの言葉を頂きありがとうございます。あっちの返事はもう少々お待ちください。

ところで、ご存知かと思いますが、茂木さんって脇が甘いところがあって、対談とかで相手が素人の場合、数学の割と基礎的な部分の話を得意げにしゃべってしまうことが多いみたいです。でもって内容はトンデモ。不完全性定理や集合論のごくごく表面的な話等、割りと好きみたいなのですが、まったく分かっていない。
私自身クオリアとかあやしいなと思いつつ、自分自身の言葉で具体的にどこが問題なのか表現することはできませんが、自分が理解していない分野について、素人相手だからといって中途半端な知識を披露する態度は、「学者」としてどうかなとは思います。
かがみ 2008/02/01(Fri)18:48:00 編集
茂木さんは、彼がホストをしている番組を1回だけ見たことがありますが、たしかに人当たりはよさそうだし、また、人がいいことは疑いようはない気はするのですが、ただ、そうした「人当たりのよさ」や「人のよさ」は、そうした属性を持つ人の言説の妥当性を何ら保証しないこともまた当たり前のことで、そこいらへんの値引率がみんな(「みんな」って誰だよ?という、これまた当然な問いはとりあえず措いとくとして)甘過ぎない?と思います。

クオリアについては、ぼくもよく知らんので、批判する正当な資格はまったくないんですが、とはいえ、側聞するかぎりでも、かぎりなく「アヤシゲ」、と言うか、端的に「ダメ」なんじゃない?と思ってしまいます(そうした「クオリア」なる概念を、たとえ仮説的に導入したところで、見通しがよくなるわけでもなんでもない)。

ともあれ、素人相手だからといってなめてかかる、というか、いい加減なことをいうのは、学者としてはたしかにダメですね。「素人相手」だからこそ、真摯に、そして真剣に向かい合わなくては。
はやし 2008/02/01(Fri)20:48:00 編集
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