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テストの採点も終わり、何かちょっと息抜きを、と思い、現在やや滞ってしまっているラッセル『数学の原理』の翻訳を進めようかとも思ったのだけど、それはちと、これからやらねばならぬことに近すぎる内容でもあり、あまり「息抜き」としては適当ではないな、ということで、こいつを。
唐突に復活。
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スペクタクルの持つトートロジカルな基本性質は、その手段は同時にその目的でもある、という単純な事実に由来する。それは、現代的受動性が統べる帝国の、決して沈まぬ太陽であり、地球上の全土を覆い尽くし、その尽きせぬ栄光に浸る。
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スペクタクルは、有無を言わさず、また到達不可能である巨大な肯定として現れる。それは「現れるものは善く、善いものは現れる」とだけしか言わない。スペクタクルが原則として要求する/必要とする態度は「受動的容認」であり、それはスペクタクルの「応答なしの現れ」といったやり口や、現れ/見た目を独占することによって、すでに手に入れられていたものである。
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スペクタクルやその組成、スペクタクルの持つ諸々の機能、そしてスペクタクル自体を崩壊せしむるような諸々の力を記述するためには、分離し得ない要素を人工的に区別しなければならない。スペクタクルを分析するのに、スペクタクル的言語をある程度まで用いるのだが、それは、スペクタクルにおいて自らを表現する社会の方法論的領野に身を置く、ということである。だがスペクタクルは、ある社会経済的組成の全体的実践の意味、その時間の使い方に他ならない。われわれが捕らえられているのは、こうした歴史的瞬間/契機なのだ。
もういっちょ訳文アップ。
最近外出続きで、なかなかコメンタリまで手が回りません。
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スペクタクルという概念は、目に見える現象のべらぼうな多様性を、統合し説明する。そうした現象の多様性と、その現象同士がなす対照は、社会的に組織化された「見え」が、さらに「それ」として目に見えるようになったものなのだ。そして、社会的に組織化された「見え」は、その一般的な真理において再認されなければならない。スペクタクルに固有なこうした構成要素を考え合わせると、スペクタクルとは「目に見えるもの」の肯定であり、すべての人間的生、つまりは社会的生というものを、単純な「見え」として肯定することなのだ。しかし、スペクタクルの真実を知ったその批判者は、スペクタクルとは、生の目に見える形での否定であることを見出す。つまり、可視的になった生、の否定。
とりあえず訳文だけアップ。
9
実際に転倒された世界では、真実とは虚偽の瞬間/契機である。
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実際の社会的活動と、その仮象たるスペクタクルとを、抽象的に対立させることは出来ない。この二重化は、それ自体二重化されているのだ。現実を引っくり返すスペクタクルは、その現実の中で作り出される。と同時に、生きられた現実は、スペクタクルの凝視に物質的に侵蝕され、スペクタクルを肯定的に支持しつつ、自らのうちにスペクタクル的な秩序を打ち建てるのだ。客観的現実は二様に表される。このように定められたスペクタクルと現実という二つの観念は、その反対物への移り変わりのうちにしかその本質規定を持たない。現実はスペクタクルの中に現れ、スペクタクルは現実である。この相互的疎外こそ、今あるこの社会の支えであり、本質である。
7
分離はそれ自身、世界と、現実とイメージに切り分けられたグローバルな社会実践との統一を為す。自律的スペクタクルと対峙する社会的な営みもまた、スペクタクルを内包する現実的な統一性である。しかし、この全体性における分断は、スペクタクルをその目的として立ち表せるに至るまで、その全体性を損ねる。スペクタクルの言語は、支配的な生産の記号によって構成されており、その記号は同時に、この生産の最終的な成果物でもあるのだ。
6
スペクタクルを全体として捉えると、それは既存の生産様式の結果であると同時に、その目指すところでもある。スペクタクルは実世界への付け足しでもなければ、世界に上からかぶせられた飾りでもない。それは、現実社会の非現実性の核なのだ。情報やプロパガンダ、娯楽の広告やその直接な享受といったさまざまな個々の形式の下、スペクタクルは社会的に優勢な生の現在のモデルを構成する。スペクタクルはまた、生産およびそれに伴う消費における、すでに為されてしまった選択を、至るところで肯定する。スペクタクルの形式と内容はともに、既存のシステムの条件と目的を、全体的に正当化する。スペクタクルとはまた、現代の生産の外で生きられた時間の主要な部分を占拠する限りにおいて、上で述べた正当化の永遠の現前であるのだ。
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