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実際の社会的活動と、その仮象たるスペクタクルとを、抽象的に対立させることは出来ない。この二重化は、それ自体二重化されているのだ。現実を引っくり返すスペクタクルは、その現実の中で作り出される。と同時に、生きられた現実は、スペクタクルの凝視に物質的に侵蝕され、スペクタクルを肯定的に支持しつつ、自らのうちにスペクタクル的な秩序を打ち建てるのだ。客観的現実は二様に表される。このように定められたスペクタクルと現実という二つの観念は、その反対物への移り変わりのうちにしかその本質規定を持たない。現実はスペクタクルの中に現れ、スペクタクルは現実である。この相互的疎外こそ、今あるこの社会の支えであり、本質である。



スペクタクルと現実とは、「嘘のスペクタクル」と「本当の現実」といった具合に、単純に二項対立的なものとしてあるのではない。しかし、スペクタクルとは「端的な嘘」なのではなく、その「嘘の根」はまさしくこの「本当の現実」にあるのだ。そして、現実の方は、と言えば、その「嘘のスペクタクル」が立ち現れるのはあくまで「この現実」の中においてであり、その意味で、現実はスペクタクルを内包している。このように、現実とスペクタクルは、互いに互いを写し合う「合わせ鏡」のようなものとして、「それ自体二重化される二重化」としてある。

全くの嘘でもなければ、生の現実でもない、その「あわい」にわれわれは生きている。そして、そのような中途半端さが、ある不正、ある倦怠、ある絶望をうやむやにし、何もかも未決のまま「今」という名の未来に繰り延べられる。しかし、それだけのことなら問題はないかもしれない。「永劫回帰」だって「永遠に続く『今』」のことではないか。問題は、その手綱を誰が握っているか、いや、その手綱を誰も握っていないことなのだ。

あくまでわれわれは、現実とスペクタクルの合わせ鏡の間に立たされ、乱反射する「視線」を一方的に浴びつつ、自動回廊に乗って運ばれるしかない受動的存在としてある……。


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