忍者ブログ
[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

昨日に引きつづき、中世ラテン語の文献を読みながら出会った文言をめぐっての脱線記。

14世紀に活躍したイギリスの神学者・哲学者ウォルター・チャットンが無限について論じる文章のなかで、"stultorum infinitus est numerus" という聖書の一句を引いていた。この一句には注が付されていて、それによると伝道書1章15節にあらわれる文言らしい。

さっそくペルセウスでウルガタ聖書の該当箇所を見てみると、"perversi difficile corriguntur et stultorum infinitus est numerus" とある。そして、この箇所の英訳は "That which is crooked can't be made straight; and that which is lacking can't be counted" であるという。"perversi difficile corriguntur" の部分はともかく、チャットンが引いている "stultorum infinitus est numerus" にかんしては、ラテン語と英語とではやや趣きをことにするように見える。すくなくとも、ぼくには英訳からラテン語訳で言われていることを想起することはむずかしい。そこで、バイブル・ハブでこの箇所のヘブライ語原文を調べてみた。ヘブライ語原文は次のとおり。

מְעֻוָּ֖ת לֹא־ יוּכַ֣ל לִתְקֹ֑ן וְחֶסְר֖וֹן לֹא־ יוּכַ֥ל לְהִמָּנֽוֹת׃

これを見ると、原文により忠実なのは英訳のほうであることが分かる(もちろん、ラテン語訳も忠実ではあると思うけど、じゃっかん意訳が入っているように思う)。

さらに、ついでなので文語訳聖書ではこの箇所がどう訳されているかを見ると、「曲れる者は直からしむるあたはず缺たる者は數をあはするあたはず」とあり、この訳からも「足りないやつはたくさんいる」という意を汲むのはぼくにはむずかしそうだ。

というわけで、あくまでこの箇所だけからの判断になるけど、ラテン語訳がいちばん分かりやすかったので、もし聖書をがっつり読むことがあれば、ウルガタを基軸に据えようと思った。(ただ、「聖書をがっつり読むこと」なんてのは、たぶんない)
PR
この記事にコメントする
お名前
メールアドレス
URL
コメント
カレンダー
02 2024/03 04
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31
最新コメント
最新トラックバック
メール
ブログ作成者(はやし)に直接訴えたいことがある、という場合は、下のアドレスにメールをどうぞ。

thayashi#ucalgary.ca
(#を@に置換してください)

ブログ内検索
Google
WWW を検索 このブログ内を検索

はやしのブログ内で紹介された
 書籍の検索はこちら
 音盤の検索はこちら
ランダムおすすめ
(忍者ブログに引越してから、うまくうごかなくなってしまいました。いつか、直します)
Randombook
このブログで紹介したことのある本をランダム表示。
Randomusic
このブログで紹介したことのある音をランダム表示。
自分がらみのリンク
はやしのブログ書籍一覧
このブログで言及された書籍の一覧。
はやしのブログ音盤一覧
このブログで言及された音盤の一覧。
最近のおすすめ本
最近のおすすめ音

Copyright © [ はやしのブログ ]
No right reserved except those which belong to someone else.
Special Template : 忍者ブログ de テンプレート and ブログアクセスアップ
Special Thanks : 忍者ブログ
Commercial message : [PR]