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中世ラテン語で書かれた文献を読んでいると、「心に火が燃えるように sicud ignis materialis agit in animam」という文章に出くわした。"Ignis materialis"(字義どおりには、「木を燃やした火」)という言い回しが気になったので調べてみると、中世の怪談で「夜、火に出くわしても、おそれるな。ただ、火を通りすぎたあと、それを振りかえってはならない」というふうにこの "ignis materialis" が出てくることが分かった。

さらに、この「火=霊」という捉え方はデンマークにもあり、何か超常的なことに出くわしたとき、その超常的なことが災禍をまねかないよう、家のなかに入る前に玄関口から家のなかをのぞき見て、「(火を燃やしてそこから発せられる)光に見られる前に、こちらが先に光を見なければならない Man skal se lyset, för det ser en」と、印象的かつ不気味なことが言われていたらしい。

思えば、日本でも、「鬼火」「狐火」というかたちで、火は「人ならぬもの」と結びついている。これはたぶん、「火」というものが、目には見えるけれども手でさわれるような「もの」ではないという点で、「霊」と類似していると考えられたためだろう。こういう感じ方の、洋の東西を問わない相同性というのは、ちょっとおもしろい。

(ちなみに、冒頭「心」と訳した "anima" の原義は「風」なので(ゆえに、冒頭の文章は「風にゆれる火」というイメージも喚起する)、「心=見えない風」と「霊=見える火」という対照も感じられ、それもおもしろい)
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