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前回の「外延/内包」という区別につづいて、今回は『プリンキピア』の「主張」と「推論」という概念について見る。



■主張

「主張」という概念は、いっぱんでの用法と異ならず、「〜である」ということを、あるいは、もっとくだくだしく言えば、「〜であることは真である」ということを意味する。この「〜である(ことは真である)」という「主張」は、『プリンキピア』において縦棒(|)の右横に横棒(-)が突き出た"turnstile"と通例呼ばれる記号で表されるが、一般的なPC環境ではこの記号を表示できないので、ここでは"@"("assertion"の"a")で代用することとする。

さて、この「主張」という概念を導入することで、主張されている命題とそうではない命題の区別が明確となる。例として、p⊃qが主張されているとする。つまり、

  • @(p⊃q)

この回で述べたように、ラテン小文字のとくにpqそしてrは「命題変数」と呼ばれ、特定されていない任意の命題を表すのだった。ゆえに、上で主張されているp⊃qをメイン命題とすると、pqは「サブ命題」と捉えられるが、ここで注意すべきは、@(p⊃q)の主張力はpおよびqには及ばない、ということである。つまり、「真である」と「主張」されているのはもっぱらp⊃qという「かたまり」だけであり、それに内蔵されるpおよびqの真偽については、何も主張されていない。



■推論

「推論」という概念も上の「主張」と同じく、いっぱんでの用法とはそれほど異ならず、いくつかの主張からあらたな主張を導く仮定を言う。たとえば、三段論法を例にとって言えば、これは、pという主張@pp⊃qという主張@(p⊃q)からqという第3のあらたな主張@qを導くプロセス、つまりは推論、と言える。より形式的に言えば、ある証明の過程で@p@(p⊃q)が現れていれば、その証明内の@p@(p⊃q)が現れた位置以降のどこにでも@qをおける、ということである。「証明」(『プリンキピア』の言葉づかいに忠実に言えば「演繹deduction」)については、第1部「数理論理学」においてより詳しくふれられる。



次回は、『プリンキピア』読解における「最大の難関」のひとつと考えられる、「『プリンキピア』記法」について、ドット(.および:)の用法を中心に紹介する。

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コメント
次回をとても楽しみにしています。
4space 2008/05/07(Wed)22:41:00 編集
あまり期待しないでください! 

それはともかく、なにゆえにR&Wはすなおにカッコをパンクチュエーション記号として使わなかったのか、けっこうなぞであります。
はやし 2008/05/08(Thu)15:47:00 編集
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