『批判的探求』誌2008年冬号紹介文献より (2) [本]

これのつづき。

• Simon Critchley, Infinitely Demanding, Verso
  「コミットメントの倫理、抵抗の政治」という副題と版元より、どういう本かだいたい想像はつくのだけど、でも、よく分からん本。著者のクリッチリーさんは、ほかに、「とっても短い入門書」のこれとか、あと、レヴィナスリーダーなんかの編者をしてたりするようなので、そこから当たりがつく。
  
  
• M. Davis and D.B. Monk (eds.), Evil Paradise, The New Press
  『悪の楽園』というタイトルと「ネオリベラリスムの夢の世界」という副題から想像していたものと、目次から察せられる内容がちょっとちがうので、じっさいに手にとってみるか分かりませんが、いちおう。
  
  
• A. Dawson and M.J. Schueller (eds.), Exceptional State, Duke Univ.
  「合衆国の同時代文化とあらたな帝国主義」という副題から察するに、ここいらと共鳴する本かな、と思ったけど、目次を見ると、ぜんぜんちがうわけでもないけど、もっと範囲のひろそうな本。タイトルが、「例外的国家」とも「例外状態」とも読める。
  
  
• Michael Deakin, Hypatia of Alexandria, Prometheus
  「数学者と殉教者」という副題が気になったのですが、じっさいのところどういう本なのかよく分からず、ざんねん。
  
  
• Emily Sun et al. (eds.), The Claims of Literature, Fordham Univ.
  ショーシャナ・フェルマンのリーダー。ショーシャナ・フェルマンって、ごく若いとき（大学入りたて、とかの時分）にこれを読んだことがあるだけなんですが、いま読むと「ラカン臭がきつすぎてどうも……」となること必定、でしょう。
  
  
• Tarleton Gillespie, Wired Shut, MIT
  「ディジタル文化と著作権」もの。この方面では、これをずーっと読もう読もうと思いつつ、読んでません。英語では、何がスタンダードな文献なのかな？
  
  
• Daniel M. Gross, The Secret History of Emotion, Univ. of Chicago
  「感情／理性」というようなダイコトミーは、「感情」と呼ばれるものはじゅうぶん理性的であり、「理性」と呼ばれるものはじゅうぶん感情的であるがゆえに、レトリカルに言う場合はともかく、ほとんど意味のないものだと思うのだけど、この本ははたしてそういうダイコトミーにどこまで抗いえているか。
  
  
• Jennifer Higgie, The Artist's Joke, MIT
  「現代美術のドキュメント」という副題から、「ジョークで知る現代美術」みたいな本かな？と思っていたのですが、どっこい、『笑いの美学』とでも言っていいような、ひじょうに興味深いアンソロジーであるようです（目次）。これはちょっと目を通しておかなければな。
  
  
• Bruce Jackson, The Story is True, Temple Univ.
  「物語り Telling Stories の技法と意味」という副題から分かるとおり、「物語 stories のrealityとfictionality」というここいら（ああ、つづきを書かなくては！）と共振する内容でしょう。図書館に（まだ）所蔵がないのがざんねん。
  
  
• Fredric Jameson, The Modernist Papers, Verso
  ジェイムスンの最新論文集。じつは、この本、だいぶ前に図書館の新刊コーナーで見かけ、ややしばらく借りようかどうしようか迷ったすえ、けっきょく借りなかったんですが、そうこうするうちに誰かに借りられてしまい「あちゃー」です。ちなみに、アマゾンの書誌情報にあるページ数「160」というのはまちがいで、じっさいは426ページと、けっこうヴォリュームがあります。
  
  
• Chris Lawn, Wittgenstein and Gadamer, Continuum
  ヴィッゲンシュタインとガダマーという組み合わせもさることながら、「ポスト分析系言語哲学に向けて」という副題も「何が何やら」ですが、ちょっとのぞいてみてもいいかも。