YouTube三昧 [音]

飯を食いながら何の気はなしに平沢進の『時空の水』（かなりびみょうな名作。ただ、そうした「びみょうさ」は多分に確信犯的）を聴いていたら、当然のようにP-MODELの「美術館で会った人だろ」が聴きたくなってきた。それでは、とPCのHDを探ったところ、「美術館で会った人だろ」が入っているP-MODELの1stは、何とリップしていないことが発覚。たしかYouTubeに「美術館で会った人だろ」のライヴ映像があったよな、とそこから、金曜夜のYouTube三昧が始まったのだった。

まずは、「旅のはじまり」であるその「美術館で会った人だろ」のテレビライヴ映像。いやあ、やっぱりこの曲はかっちょええね。詞も、「きれいな額を指差して「子どもが泣いている」と言っていただろう」だの「血糊で汚れたぼくの手を見てI love youと言ってただろう」だの決めてきてるし。んで、この映像を見ると、演奏もうまいことがあらためて実感される。そして何よりも、平沢進がわかい！　いくつですか、このとき？　誰かに似てるような気もするんだけど、それが誰かは思い出せない。

そこから、なぜだかよく分からんが、ルースターズに。ルースターズと言えば、やはり「恋をしようよ」でしょ。左に張ったやつは、たぶんルースターズ中期ごろのもので、大江慎也の精神バランスが徐々に崩壊に向かっているところではないかと。初期のころの映像は、これ。しかも、テレビ放送。こんなもん、放送してよかったんでしょうか。んでもって、最近の再結成ルースターズでの「恋をしようよ」が、これ。大江さん、大丈夫なんでしょうか？　まあ、この頃よりはかくだんによさそうだし、ちゃんと笑えてますしね、大丈夫でしょう。

で、ここまで（と言っても、わずか2バンド、だけど）日本ものがつづき、じゃあ毒食わば皿までで、もっと日本ものを、ということでピックアップしたのが、あぶらだこ。まえはもっと映像があったような気がするけど、とりあえず「アンテナは絶対」（このライヴはたぶんじっさいに観に行ってる）と「冬枯れ花火」が聴けたんでいいか、と。つうか、世紀の名盤『亀盤』（曲の完成度も、詩の完成度も、他のアルバムを大きく引き離している。「和音のメガテリウム」やら「エントロピーのすだれ／朝日にふるえ」やら「デリダにて誰だ？」やら、名フレーズが続出。中学生のころ、ウォークマンでこのアルバムを爆音で聴きながら塾に通う坂道を疾走していた！）の曲が聴きたかった。それはともかく、あぶらだこの長谷川裕倫氏が内田静男と組んでやっている長谷川静男のPVめいたものがあり、ちょっとビビる。

ところで、YouTubeでやっかいなのは、みんなもよく知っているように、画面の右横に「Related」とかいって、関係がありそうなビデオが列挙されており、それを見始めると切りがなくなることだ。たとえば、あぶらだこの映像に「関連あり」として挙げられていたのが裸のラリーズ。「関連あるか？」と思いつつも、やはり見てしまう。さらに、そのラリーズのビデオに関連ありとして挙げられていたのがラリーズを語る湯浅学のビデオで、これが何とふつうのテレビ放送っぽく、一般視聴者に向けて「フィードバックを多用」だの「ファズがたくさん」だの、「それ、ふつうには通じんだろ」という言葉でラリーズを語り、しまいには「ラリーズの音というのは、笑いながら人を殴り殺しているような感じがしないでもない」とか言い出す始末。これほんと、何の番組ですか？

ここから、灰野敬二とかに行ってもよかったんだけど、なぜだか中原昌也ものに突入するという、われながらあきれるぐらいの無軌道っぷり。で、まず見っけて見たのがラッセ・マールハウグとの共演。しかも、これけっこう最近じゃん。まだ音楽活動してるんだ！と思ったら、他にも最近っぽい映像はけっこうあり、いつになく真面目な顔のマサヤンが見られるヘアスタイリスティクス名義でのライヴとかガヴァメントアルファとの共演（マサヤン絶叫！　あと、最近はノイズでカオスパッドなんて使うのか、とか思ったり）とか、がんばってる様子がうかがえます。もう文筆活動なんかやめてこっちに戻ってきちゃえ！



……こうして金曜の夜は更けていく。