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やや時間があったので矢継ぎ早に。

  • J. Baggini and P.S. Fosl, Philosopher's Toolkit , Blackwell
  • Julian Baggini, Ethics Toolkit , Blackwell
    ツールキットもの2発。Philosopher's...のほうは最近翻訳が出た。Ethics...のほうは、内容詳細がよく分からないのだけど、Philosopher's...の内容から考えるといい本なのでは、という気はしている。要実物チェック。

  • Søren Brier, Cybersemiotics , Univ. of Toronto
  • J. Kluver and C. Kluver, On Communication , Springer
    両方とも、情報論/コミュニケーション論にかかわる。前者は、「なぜ情報だけでは十分ではないか」という副題を持つことからも分かるとおり、従来的な情報論ではなく、それをパース的セミオティクスに接合させることを目指す。その接合には、ルーマンが重要な役割を果たす、らしい。後者は、版元がシュプリンガーであることからも分かるとおり、数理的な取扱いがなされる。ただ、副題に「学際的」という語が冠されているのを見ると、そうした数理的取扱いにとどまるものではないのだろう。

  • Christopher Norris, Fiction, Philosophy and Literary Theory , Continuum
  • A.P. Martinich and A. Stroll, Much Ado About Nonexistence , Rowman & Littlefield
    虚構存在もの2発。どちらも、そのタイトル、もしくは副題の軽妙さが眼につく(ノリス本の副題は「ほんとうのクリプキさんがいらっしゃれば、お立ち願えますか?」というもの)。じっさいには「(い)ない」ものをどう「指示」できるのか? それが問題だ。

  • S. Brock and E. Mares, Realism and Anti-Realism , Acumen
  • Mervyn Hartwig (ed.), Dictionary of Critical Realism , Routledge
    「実在論」と言われるものは「観念論」と呼ばれるものに他ならない、という共通諒解がろくにない貧しい哲学風土に歯噛みすることが案外多いのだが、そういう自分だって実在論と反実在論の議論の勘所を押さえているとはとてもじゃないが言えないので、似たようなものである。それが、「批判的実在論」ともなると、「批判的」抜きの実在論とどう違うのか、ほとんど覚束ないので、『批判的実在論リーダー』でここいらを押さえておくべき、とも思われる。

  • Quassim Cassam, The Possibility of Knowledge , Oxford
  • D. Pritchard and V. Hendricks, New Waves in Epistemology , Palgrave Macmillan
    認識論の歩みというのは、言ってみれば「戦線縮小の歴史」である。だがそれは、ほんとうは「分からない」ことをあたかも「分かった」かのように言いつのるより、よほど誠実な挙措だ。前者はそういう認識論の「戦線縮小の歴史」を、後者はそうした「戦線の前線」を概観する。

  • J. Ladyman et al., Every Thing Must Go , Oxford
    自然化されるのは何も認識論だけではない。この本は形而上学を自然化することを目指す。詳細はよく分からないが、読んでおいたほうがいいかな、と強く思わされる1冊。

  • Pierre Wagner, La logique , PUF
    おなじみクセジュから論理学を扱う1冊が出た。ごく薄い本だから、新知見を得られるとは思わないけど、手堅いまとめはなされていると思うので手に入れておこう。

  • Berys Gaut, Art, Emotion, and Ethics , Oxford
  • Elizabeth Schellekens, Aesthetics and Morality , Continuum
  • Hans Feger, Poetische Vernunft , Metzler
    「美」と「善」というのは、ソクラテス=プラトン的な視座では不即不離のものとして、カント=ヴェーバー的には理念的に分たれるべきものとして捉えられてきたが、ここへ来てぐるっとその環が一周し、「美と善」という対として扱われることが多くなってきたように思う。だが、言うまでもなく、それらは天上のイデア界で仲良く手を取りあうものとしてではなく、のっぴきならない緊張関係にあるものとして表象される。ここに挙げた3冊は、いずれもタイトル、もしくは副題に「美と善」の関係を扱うことが示唆されており、とくに3冊目の『詩的理性』では、ドイツ観念論におけるこれら二概念の取扱いがエクスクルーシヴに論じられており興味深い。

  • Walter Glannon (ed.), Defining Right and Wrong in Brain Science , Dana
    自然化の波は当然「倫理」の領域にまで押しよせている。この本は、そうした自然化を遂行する「神経倫理学」についての必読文集である。値段も安いし、「買い」であろう。

  • Floris van der Burg, Davidson and Spinoza , Ashgate
    「デイヴィドソンとスピノザ」という組み合わせがどれだけ妥当かはよく分からないが、ともあれ、おもしろそうではある。副題によれば、両者における心、物質、そして道徳について比較考査されているようだ。

  • B. Besana et O. Feltham, Ecrits autour de la pensée d'Alain Badiou , L'Harmattan
    バディウは、その主著と目される『存在と出来事』も、そしてその続編の『世界の論理』もながし読みした程度で、とても全容を把握しているとは言えないが、気になる書き手ではある。数理的な概念を哲学的文脈にむりやり接合するそのやり方は、俗に「トンデモ」と呼ばれるそれに他ならないが、凡百のトンデモとバディウが一線を劃すのは、その徹底性にある。トンデモにおいて問題なのは、たんに間違っているということにとどまらず、その書きものが大しておもしろくなく非徹底であることだ。

  • Arnaud Bouaniche, Gilles Deleuze , Agora
  • Takashi Shirani, Deleuze et une philosophie de l'immanence , L'Harmattan
  • Keith Robinson, Deleuze, Whitehead, Bergson , Palgrave Macmillan
    ドゥルーズにかんする新著3冊。1冊目は、レヴィ=ストロースの主要著作を軒並み文庫化しているアゴラ文庫からの1冊で、ごく入門的な装い。2冊目は、たぶん日本人の手になるドゥルーズ論で、序文をランシエールが書いている。3冊目は、これがこのなかでは一番興味深く、これまであまり主題的に追求されてこなかったドゥルーズとホワイトヘッドの思想的影響関係について書かれている。ひそかにおれは、ドゥルーズ哲学のコアにとって、ベルグソンよりもむしろホワイトヘッドのほうが大きな役割を果たしたのではないか、と思っている。たしか、ドゥルーズはホワイトヘッドの『過程と実在』について、「もっとも偉大な書物」と言っていたはずだ。

  • Peter Mahon, Imagining Joyce and Derrida , Univ. of Toronto
    ジョイスの『フィネガンズウェイク』とデリダの『弔鐘』という2冊の「読みがたい」本を突きあわせ、論じる。より具体的には、デリダのジョイス読解にあるヘーゲル主義的側面が論じられているようである。ところで、『弔鐘』の翻訳はどうなっているのだろう?

  • Antonio Calcagno, Badiou and Derrida , Continuum
    この本も、『デイヴィドソンとスピノザ』同様、これらの名前が並列される妥当性に確信が持てないが、機会があれば覗いてみたい、とは思う。両者の政治的アスペクトに焦点が当てられているようだ。

  • Jean-paul Martinon, On Futurity , Palgrave Macmillan
    この本は、副題に「マラブー、ナンシー、そしてデリダ」とあるとおり、「またデリダか!」ではあるのだけど、そのことよりも、マラブーがこのように扱われる存在になっている、ということに感じ入った。ちなみに、この本のページ数は2の8乗である。

  • Philippe-Alain Michaud, Aby Warburg and the Image in Motion , Zone
  • Karl Sierek, Foto, Kino und Computer , Philo
    ヴァールブルクもの2冊。1冊目は、フランス語からの翻訳だが、原本より安いので挙げた。序文を『残存するイメージ』のディディ=ユベルマンが書いている。2冊目は、タイトルから推察するに、キットラー『フィルム・グラモフォン・タイプライター』と併読すると益すること大な予感。

  • Gyula Klima et al. (eds.), Medieval Philosophy , Blackwell
    飯田隆も言うように、現代哲学を理解するためにも中世哲学の理解は必須なのだが、どうもそれが腹の底から得心されている様子はなく、現状ではまだまだお寒いかぎり、といったところ。この本は400ページとそれほど厚くはないし、せめてこの程度は、と思う。自戒の念もこめてリストアップ。

  • James Luchte, Kant's 'Critique of Pure Reason' , Continuum
    純理の読解本としては、以前純理本エントリで挙げたスミス本で十分、と思わないでもないのだが、Continuumのこのシリーズはちょっと集めたいな、と思ってるので。



猛攻はまだまだつづきます。次回は「文学・文化研究・芸術編」です。

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私と横浜市立図書館はこのたびのはやし陣営による奇襲攻撃を危険水準最高のレベル5と認定し、横浜市及び近隣の市町村と協力して、書籍紹介総攻撃に対して迎撃ミサイルによる打ち落とし作戦を実施することを今夜決定した。
このたびのはやし陣営の攻撃は今までにない規模のものであることから事態を重く見た参謀会議議長がはやし氏を予定より早く米国に送還する、欲望刺激装置包囲網作戦を実施すると同時に発表した。
英司 2007/05/14(Mon)20:56:00 編集
(いったいどんな作戦なのだろう? こわいような、たのしみなような……)
はやし 2007/05/14(Mon)21:15:00 編集
中世哲学って…やっぱ実念論と唯名論の理解なんですかね。はやしさん。飯田教授が何て言ってるか知らないけど…そこがキーだと思います。

…で、批判的実在論のローソンって経済学方法論ではケンブリッジ学派の旗手だったと記憶していやすが、はやしさんも言うように、実在論も観念論も自己完結してますので、論理一貫性のみを判断軸にすれば論駁不可能なんすね。だから、ポパーは議論の<実り豊かさ>とゆ〜基準を打ち出すわけです。
藤崎達哉 2007/05/15(Tue)06:58:00 編集
中世哲学と言えば、藤崎さんも言うように実念論と唯名論のたたかい、つまり普遍論争の理解も重要なんですが、そういう「理念的」な部分もさることながら、テクニカルな部分も重要なんですね。つまり、手持ちの限られた駒で、いわゆる「言語哲学」と呼びならわされている領域でのコヌンドラムとかなり善戦している。そういう部分を指して、飯田さんは「知っとくべし」と言っているのかな、とも。

ローソンは、それこそ批判的実在論を調べる過程で知った程度なのですが、それ自体としてちょっとおもしろそうな存在ですね。余裕があれば、何か1冊、とは思っていますが……。
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