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紀伊国屋の新刊洋書目録をぺらぺらめくりながら眼についた本。

  • Simon Eliot, Companion to the History of the Book , Blackwell
  • D. Finkelstein and A. McCleerly (eds.), An Introduction To Book History , Routledge
  • D. Finkelstein and A. McCleerly (eds.), The Book History Reader , Routledge
  • Karin Littau, Theories of Reading , Polity
    「本を読む」ということは、それほどふつうのことでもなければ、真っ当なことでもない。そもそも、「本」という記録メディアの、そして、それに継ぐ印刷術の発明は、人類史上まれに見る尋常ならざる出来事であって、そこをまったく捨象して、「本」というもの一般、そして「本を読むこと」を称揚してもどうしようもない。ここに挙げた4冊は、いずれも専門的すぎるきらいはあれど、「本」と「読書」という異常なもの/いとなみを知るうえで役に立ちそうだ。オング『声の文化と文字の文化』、およびマクルーハン『グーテンベルクの銀河系』とあわせて読みたい。

  • Laura J. Miller, Reluctant Capitalists , Univ. of Cicago
    「本」というものが少なからず異常なものであれば、それを扱う「本屋」というのも、少しくかわったいとなみである。この本は、そうした「本屋」という、ある意味「資本主義」という制度とは折り合いのわるい商行為を、資本主義の駆動力たる「消費文化」という相のもと考究する。「本」というものはそもそも、「消費」されるものではなく、「記録」し、「保持」されるものであってみれば、ここで言われる相克は、まあ当然のことだ。

  • K.H. Jamieson and B. jackson, unSpun , Random House
    紀伊国屋の洋書新刊目録では「ガセ情報の洪水の中から事実を見つけ出す方法」という長ったらしい訳がついているが、まあそういう本だ。しかし、「事実の見極め」というのは、思うほど容易なことではないので、わずか200ページ足らずのなかで、どういった「奥義」が開陳されているのか、ちょっと興味のあるところ。

  • Richard A. Posner, The Little Book of Plagiarism , Pantheon
  • Arthur A. Berger, The Academic Writer's Toolkit , Left Coast
  • Gerald Graff, They Say/I Say , W W Norton
    「研究者」の仕事というのは基本的に、あることを調べ、考え、そうした成果をまとめて、他の研究者に「うん、そうだよね」と言ってもらえるような論文を書くことだ。1冊目は、法哲学界の碩学ポズナーによる「剽窃論」で、剽窃にかんしてきわめておおらかな感性しか持たないところで基礎教育を受けたものにとっては、こうしたものを少なくとも1冊読んでおくことは、日本以外で学問的いとなみを行なわんとするものにとって必須のことである。2冊目と3冊目は、やや原理論的なポズナー本にくらべてより実践的な本であるが、これも、「感性的に書く」という、どうしようもなく体たらくなことがまかり通ってきたところで教育を受けたものとしては、自覚的に「再学習」しておかねばならない技術である(関連記事)。

  • Robert L. Rotenberg, The Art and Craft of College Teaching , Left Coast
    上で、研究者の仕事は論文執筆、みたいなことを書いたが、もちろんこれは「それに尽きる」というものではなく、ふつうはこれに「教育」というものが付け加わる。しかしこれは、研究者にとって「余計な負担」ではさらさらなく、ファインマンも言うように、むしろ必要ないとなみである。これもよく言われることだが、教育の現場で「学ぶ」ことが多いのは、教えられる側ではなく教える側であり、もし何かをほんとうに理解したいのなら、それを「教える」に如く法はない。



長くなりそうなんで、つづき(「哲学・思想編」)は次回。

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ちょっと、待った。次回の放送は中止ということで。プラチナ持ってない階層から、これ以上、購買欲を増進させることのないよう、陳情がありましたが、反面期待していたり、アンビバレンツな状況です。
英司 2007/05/14(Mon)16:16:00 編集
紹介するなら、「偉業」もやるということに閣議決定。
英司 2007/05/14(Mon)16:20:00 編集
アンビバレンツな想いの片側を満足させるため、哲学・思想編も書きました。

で、「偉業」については、そもそもここに挙げた本は買うかどうか未決なものだし、「偉業」をなすもなさぬもじっさいに買ってから、ではありますが、諸般の事情により、「偉業」はなされない、と思われますので、何卒ご理解のほどをお願い申し上げます。
はやし 2007/05/14(Mon)19:40:00 編集
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