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本当に語学を物にしようと思ったら、或種の悲壮な決心を固めなくっちゃあ到底駄目ですね。まず友達と絶交する。その次には嬶アの横っ面を張り飛ばす、その次には書斎の扉に鍵をかける。書斎の無い人は、心の扉に鍵をかける。その方が徹底します。

関口存男の生涯と業績』所収「語学をやる覚悟」

ここで言われていることは、何も語学にかぎらない話で、およそ「何かをものにする」という場合には、ひとしく適用可能な考え/方法であろう。ただ、かなしいかな、おおかたのものには、友とのまじわりを絶つ勇気も、いわんや恋人や配偶者の「横っ面を張り飛ばす」向こう見ずさも、ありはしない。だから、この凡俗の世に生きる卑小な人間に考えられる方途としては、1) そもそものはじめから、友人/恋人/配偶者は持たない、2) 「きちがいじみて何かに打ちこむ」ということに理解ある友人/恋人/配偶者を持つ、というぐらいしかないだろう。

だが、1という選択肢は、そもそもの仮定におかれている「凡俗の世に生きる卑小な人間」には、やや荷が勝ちすぎているように思える。そんなことができるぐらいなら、友と絶交するのも、親しき人の横っ面を張り飛ばすのも、そうむずかしくはないだろう。となると、残るは2ではあるのだが、これは、こちらの側でいくら努力をしたところで、あまり実りがありそうにない。できることは、ひたすらそうした僥倖を祈るのみ、である。

だから、何かを成し遂げる、ということは、才能の問題などではさらさらなく、きちがいじみた努力と、そして「天恵」と言ってもいいような好機をつかむ運、によるのかもしれない。

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『かかア』が効いてるね、実に。(かかあ、漢字が見つからず)。スッとする。べらんめえ調でこんなこと云えるんだね。この人の読んでみたい。あと、たった今読みたいのは、『マイルス・デイヴィス自叙伝』です。
mom 2007/05/30(Wed)11:02:00 編集
ああ〜っ、耳が、耳が痛い、
耳が張り裂けそうだぁ〜っ!

(まあな、耳、痛いわな、うん。)
宮本浩樹 2007/05/30(Wed)20:05:00 編集
関口存男ですか。ドイツ語ですね。いや〜あっしが学生の教養部の学生だったころのドイツ語のときに(もう20年以上も昔になっちまった!)ときどき名前だけはお目にかかったことがありました。そのころすでに伝説化して理系のクラスだと関口存男の名を知ってるやつはほとんどおらんかったとおもいます。高校時代、息子の関口〜さんが、「NHKテレビのドイツ語講座」をやっていたことを覚えてます。何で覚えてるかというと、アシスタントの女性が知的でかわいくて毎週見ていたのです。クラスの友達にもドイツ語講座毎週みてんねん、というやつがいまして。何で高校生やのにドイツ語講座見てんねんと聞いたら、アシスタントが素敵やろ、ファンやねん、やと。「やっぱり、お前もか!」と盛り上がったことがありました。不順な動機です。社会人になってイタリア語を勉強したことありまして、表向きはカルヴィーノの原作をイタリア語で読む。ということだったんですが、ほんとは、かわいい女の子がいっぱいいておしゃべりしたりできるからでした。これまた不純な動機です。生まれてきてすみません。今ではチャオとプレーゴしか覚えてません。ちなみにイタリアの大学の学位審査(ドットーレ博士号)は、文系の場合、口頭試問がほとんどだって。言語習得の道は険しい!
ジャック・どんどん 2007/05/30(Wed)22:31:00 編集
関口存男のライトな書きものは、けっこうこういう歯切れのいい口調のものが多く、べつだん語学とも、いわんや学問ともそれほど縁のない人が読んでもそれなりにたのしめる、とは思えど、その書物はいずれも、簡単に手に入るとは言い難いシロモノで(売ってる場所も限られているし、何より高い!)、そこが悔やまれるところです。
はやし 2007/05/31(Thu)01:53:00 編集
みやもっつぁん、何か若干キャラが違くね?

ま、それはともかく、相当耳が痛いみたいだが、痛がってばかりでもしようがないので、何か手を打ったらいかがでしょうか。
はやし 2007/05/31(Thu)01:57:00 編集
じつは、このエントリを書いてるときにちょっと考えたのですが、どんどんさんが言うような「不純な動機」を梃子に、何かの学習を進めるのも手かな、と思ったりもします。たとえば、どんどんさんが言われている「異性の気を引きたい」でもいいし、「ライヴァルを打ちのめしたい」でも、何でもいいんです。それで、何がしかが成就できれば、よしとすべきでしょう。とはいえ、息のながい研究をするには、それそのものに対する志向性がある程度なければだめでしょうけど。

ちなみに、アメリカでもドクター取得のさいには、論文提出と、それを元にした口頭試問が待ちうけており、異国人たちはみな肝を冷やしております。
はやし 2007/05/31(Thu)02:03:00 編集
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