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何であれ「〜の哲学」と呼ばれるものは、「〜」の「何であるか」を明らかにするものでなければならない。となると、まず問題は「数学とは何か」ということになる。それでは数学とは何か?
拍子抜けする物言いで恐縮だが、数学とは「数学的対象」を扱うさまざまな営みである。つまり、数や群や函数や極限や点や多様体を扱うもの、それが数学である。となると、さらに問題は「数学的対象とは何であり、そしてそれはどういう在り方をするのか?」ということになる。
ここに、数学の哲学における「大問題」である「数学的対象の存在論的位相」の問題が析出するわけだが、この「数学的対象」に対する態度は大きく分けて二つある。一つは実在論と呼ばれるもので、数学的対象は数学者や物理的対象とは独立した存在位相を持つ、とする立場であり、もう一つは非実在論と呼ばれるもので、数学的対象は数学者や物理的対象とは独立ではありえず、それらの謂わば「函数」として存在するものである、という立場である。前者の実在論は、容易に分かるとおり、プラトンのイデア論との親縁性ゆえに「数学的プラトニズム」と呼ばれることもある。
さらに、そうした「大問題」は一時棚上げするにしても、「数学的実践」に起因する問題というものが、謂わば「各論」として数学の哲学の主題として立ち現れてくる。つまり、数学者は日々、どういった類の「知的実践」を行っており、そしてそれは何によって正当性を主張できるのか、また逆に、どういった「数学的実践」が正当性を主張できるのか、という問題である。そして、こうした「数学的実践」を扱う問題は、その道行きが進むに従って、先述の「数学的対象はいかなる存在位相にあるのか」という大問題と不即不離であることが明らかになる。
その他にも、数学と物理的対象の関係の問題、数学的対象の認識の問題など、およそ哲学が扱う問題系はすべて出揃っていると言ってもよく、哲学のサブジャンルにして、その全体像がそっくりそのまま(自己相同的に?)はめ込まれている、といった観すらある。ゆえに、なかなかに全体像が見渡しにくく、さらに各論ともなるとそれなりにテクニカルな議論が展開され、一般の「哲学愛好者」には近づき難い代物となっている。
ただ、数学の哲学の面白さというものは、一部のプロパーに独占させておくにはもったいないほどのものであるので、浅学菲才の身を省みず、わたくしめが「数学の哲学エヴァジェリスト」として立ち上がろう、と決意した次第である。
って、ほんとかよ。
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