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昨日、新宿紀伊国屋のDVD売場で、ストローブ=ユイレの『ルーヴル美術館訪問』など計4作品が収められているDVDを見つけた。

ストローブ=ユイレはよくゴダールと比較され、「黒のゴダール/白のストローブ=ユイレ」と言われたりもするが、ゴダールがときに「前衛=通俗」というスキームに危うく漸近しそうになるのに対して、ストローブ=ユイレは全く妥協がない。

ストローブ=ユイレは、ゴダールと違って、メタ的ではなく「映画そのもの」を映画に撮ろうとしているように思える。こちらの忍耐と根比べするように固定カメラで長回しされるショット、「演技された結果」ではなく「演技することそのもの」を要求されているかのような演出……ストローブ=ユイレの映画を観るものは、そうした「剥き出しの映画」に対面させられるという、この上なく「寄る辺ない」状態に投げ出される。

ゴダールであれば、そうした「映画であること」の自意識が、ある種の自己充足的な「快楽」を伴って提示されるので、その瞬間瞬間を「消費」することが可能であるが、ストローブ=ユイレはそうした挙措を頑ななまでに拒否する。

カメラが据えられ、その前に役者が立ち、そして監督の演出のもと演技し、それがフィルムに収められる……「映画」とはそうしたものであるしかない、その在り方を、そのまま見せつけられるとき、われわれは「映画」というものが本源的に持つ異様さと胡散臭さを感じざるを得ず、「椅子に座って1時間30分の幻影が過ぎ去るのを待つ」のではなく、それこそ件のDVDのパッケージに書いてあったように、「見ることの訓練」を、つまり、「映画を観る視線」そのものを見ることになる。

こうした映画はあるものにとっては「苦行」以外の何ものでもないだろう。だが、ひとたびその「訓練」を恙無く遣り通せれば、「これこそが映画だ」と思え、さらには、(これまた、時折アイロニーが混じるゴダールとは違って)そこに流れるおおらかなユーモアをも愉しむことも出来るようになるだろう。

以上、くだくだしく書きはしたが、当たり前のこととして、それがいかなるものかは見てもらわなければどうしようもない。とくに、ストローブ=ユイレの作品の場合、上に述べた理由から、それが当てはまる。さいわい、近年になってその作品がDVD化されはじめ、「ストローブ=ユイレが観たいときに観られる」という思ってもみなかった環境が実現されつつある。

この年末、あなたの「見ること」も大掃除してみたらどうだろうか(って、間に合わねーよ)。

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