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「ノイズ」とは、情報論的に言えば、「情報」に対するものとして定義される。そして、情報はエントロピーの逆数として定義されるのだから、ノイズとはすなわち「エントロピー」のことだ、と言える。そうすると、エントロピーとは、感覚的に言えば、「出鱈目さ加減」、「無秩序さ加減」を表す尺度であるから、ノイズとは、そういう「出鱈目で無秩序なもの」の謂い、ということになる。

ところで、「ノイズ」というのは、音楽のジャンルの名称でもある。「ノイズ」というものを聴いたことがない人にしてみれば、「え、これ音楽なの?」といった感想を抱かざるを得ないような、そんな「音楽」だ。そうした、「え、これ音楽なの?」という反応は、如上の情報論的な角度から言えば、そこに「音楽情報」が見出せないということ、つまりエントロピーが大きい、ということである。

周知のように、エントロピーとは、放っておけばその度合いが、つまり出鱈目さや無秩序さが増していくものである。翻って、音楽の一ジャンルとしての「ノイズ」はどうか、と考えると、こちらは逆に、放っておくとその出鱈目さ無秩序さが減じていくように思われる。というのも、われわれはそうした「ノイズ」を幾たびも耳にするにつけ、そうした「ノイズ」をも「音楽」として感受するようになるからだ。これは、平ったく言えば、「慣れる」ということでもある。

そうすると、「ノイズ」とは、「新しさ」の謂い、と言ってもいいかもしれない。「新しさ」という言葉に、曰く言い難い「胡散臭さ」を感じるのであれば、「驚きを与えてくれるもの」と言い換えてもいいだろう。とにかく、音楽においてであれ何であれ、「それではない何か」を感じさせてくれるものは、「ノイズ」と呼んでも差し支えあるまい。

だから、いわゆる「ノイズ」は、それが音楽の一ジャンルとして確立された時点で、もはやノイズではない。それは、情報として分節化され、タワーレコードの所定の棚を律儀に埋める、一つの商業商品に過ぎない。

そういう「記号」としてのノイズではなく、その前では絶句するしかないような、そんなノイズが、痛快なまでに荒唐無稽で爽快な出鱈目さが聴きたい。

それがおれにとって主に、音楽を聴く理由でもあり、そして何より、作る理由でもある。

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