[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
外国語で書かれたものを読む上で大事なのは、「当たりを付ける」ことではないか、と思う。
たとえば、読書中によく分からない単語に出食わした場合、それが使われているコンテクストで「大体こういう意味であろうな」ととりあえず読み進める。そして、後の文章とのつながりで、その推量に適宜修正を施していけばいい。分からない単語に出食わすたびに、いちいち辞書を引いていたら息切れしてしまうし、何より読書のペースが乱れる。
もちろん、その言語で書かれたものを読み始めて間もない、という場合には、出食わす単語ごとに辞書を引く、というのも致し方ない。何しろ、「その語が使われているコンテクスト」というものを見極めようにも、そうした「コンテクスト」の措定に足るほどの「必要語彙」が蓄積されていないと、如何ともしがたい(大体、そこで使われている単語の5割程度が理解できるものであれば、何とか当て推量を用いて読み進めることができる、と思う)。
ただ、ある言語を学習し始めてから出来るだけ早い段階で、この「当て推量」というやり方を意識的に実行することは、その後の言語学習において、語彙形成や構文把握などを容易ならしめる効果がある、と思う。
さらに、このことは狭く「自然言語」に限らず、「人工言語」、たとえばプログラミング言語を学び、そしてその言語で書かれたコードを読む、という場合にも役に立つ。つまり、ある言語で書かれたコードを読むときに、そこに出てくるよく分からない函数や何やを当て推量するのだ。
最近のプログラミング言語、とくにオブジェクト指向的なそれは、ネイティヴな状態でもかなり多くの函数(メソッド)が用意されている。さらに、それなりに大きなプログラムだと、コードのモジュール化が進み、函数定義は別ファイルで行われていることも多い。
そうしたコードを読み進める際、いちいち言語リファレンスを引っくり返したり、函数定義が為されているファイルを探したり、というのはいかにもメンドクサイ。そこで、上述のような「コンテクストからの当て推量」が有効となる。具体的には、1)そのコードは何のためのコードか、2)それを実現するためにはどのようなことが必要か、ということを常に念頭に置きながら読み進めるとよい。
このように、プログラミング言語も含む言語を、挫けずに習得するのに必要なのは、ある種の「いい加減さ」であるように思われるのだが……こう思うのはおれだけか。
知らない分野の本を読むときとか、面識のない人と話すときなんかは特にそう。
コンテクストから単語の意味を理解することも多々ある。
(で、やっぱ幼児の言語習得は「普遍→個別」だろう、という思いが強くなりました。)
「知っている単語」でも、理解を深めるのは「文脈→単語」の流れだと思う。
逆に文意や文脈をつかまえるのにも、その「いい加減さ」は必要だなと思う。
本当に当たり前のことだけど、同じ言葉でも人によってそれに籠めている意味価は相当に異なったりする。たとえば、同じ「A」という語を発するにしても、それをある人は「+」に荷電させ、またある人は全く逆に「−」に荷電させていたりする。
そして、そうした意味価の決定にしても、そして端的に意味の決定にしても、それら語が発せられる「場=文脈」に拠る、と(ある部分で)言えるのだけど、面倒なのはそうした「場=文脈」もまさに「語」で形成されているということで、ここにかの有名な「解釈学的循環」が現れるわけでございます。
おれ個人の感触としては、本エントリでも述べたように、文脈中に現れる語の大体5割程度が「理解」できれば、推論エンジンがそれなりに作動する、と感じられるんだけど、これ、ちゃんと実験してみたいなあ。
やり方としては、未習言語を任意に一つ選び(既習言語からの類推が利きにくい、語族を異にしたものがベター)、文法をざっくり覚えた後、あるテクストのある一定の割合の語を無作為に選び、それらについてはその「意味」を調べて読解に取り掛かる、という感じ。
ああ、何かすげえやりたくなってきた。ちょっと、本屋行ってきます。
10 | 2024/11 | 12 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | |||||
3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 |
17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 |
24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 |
音
雑
虫
技術
『スペクタクルの社会』を読む
ドゥルーズ講義録
電波
趣味の数学
趣味のゲーデル
『プリンキピア・マテマティカ』を読む
自己紹介もどき
ブログペット俳句
芸術一般
言語ヲタ
お客様
GRE CS
留学
Boing Boing
映画
ちょっといい話
かなりダメな話
魂の叫び
哲学と数学
論文
引用
「いい」とも「ダメ」とも言いがたい話
悲喜こもごも
証明論
ポエム
書物への呪詛
言わずもがななことではあるけれどときに忘れてしまうこと
何か無駄なことをしよう
日々
趣味の勉強
夢
ブログの記事
翻訳
勉強
不眠
文房具
ライフハック
育児
thayashi#ucalgary.ca
(#を@に置換してください)
このブログで紹介したことのある本をランダム表示。
このブログで紹介したことのある音をランダム表示。