2010年音盤ベスト（ポップ／ロック編） [音]

2010年音盤ベスト、ドローン／アンビエント編につづき、ポップ／ロック編をお送りする。

今回は、時間的／精神的余裕があったので、各盤にかんたんなコメントを付してある。また、いつも通り、それぞれの音盤から1曲ずつピックアップしたミックスも用意した。参考にしてもらえれば。

Vol. 2-Song Islands Mount Eerie (P.W. Elverum & Sun, 2010)

げんみつにはこれは「新譜」ではなく「未発表曲集」といった位置づけらしいのだけど、まあ、聴き手にとってそれは新譜と似たようなもん、ということでランクイン。インドアポップであることはまちがいないのだけど、ともすれば聴き手を拒みかねない密室感を感じさせるそれではなく、ある種の親密さをたたえたやわらかい作品。収録曲数31と、それなりのボリュームだけど、そんなことを気にさせずにすっと聴き通せる。

Nothing Hurts Male Bonding (Sub Pop, )

これは、ふだんはあまり聴かないようなタイプの音楽なのだけど、ふとしたきっかけで耳にし、そのポップセンスとリヴァーブ加減にやられ、それなりに愛聴する結果となった。

All Delighted People Sufjan Stevens (Asthmatic Kitty, 2010)

もう、ほんとうに、すばらしいとしか言いようがない。ここで挙げたもののなかからあえて「ベスト・オブ・ベスト」を選ぶとすれば、これを選ぶと思う。

This Time It's Our High Keith Canisius (Darla Records, 2010)

"Chill Wave, Shoegaze, Dreampop and Psychedelia and goes beyond these genre specifics"（アマゾンのアルバム解説より）……そんな音楽、おれがきらいなわけはない。

Gemini Wild Nothing (Captured Tracks, 2010)

今年出たファーストシングルのもろギターポップな感じにやられ、そして、セカンドシングルにおけるチルウェーヴとの合流にとどめを刺された。このアルバムは、けっして「期待以上！」という出来ではないけれど、それでも好んでよく聴いたことにまちがいはない。

Calcination of Scout Niblett Scout Niblett (Drag City, 2010)

スカウト・ニブレットの歌声とギター、ほぼそれだけ。それらがアルビニによって真空パックされている。

I'm Not As Good at It As You S (Own, 2010)

これも、上のスカウト・ニブレットと同様、ほぼ歌とギターのみで構成されたアルバム。ただ、スカウト・ニブレットよりもより内省的でパーソナルな感じをたたえ、ゆえに、よりじわじわくる。これも、かりに「ベスト・オブ・ベスト」のようなものを選ぶとすれば、かくじつにランクインする。

Bardo Pond Bardo Pond (Fire, 2010)

表面的には前作までに比べかくだんに聴きやすくなったが、本質は何ら変わっていない。ポップ化したゴスリングス、と言えば、分かってもらえるだろうか。

You'll Never Work In This Town Again Flower-Corsano Duo (-, 2010)

これは人によってはむしろ、「ポップ／ロック」という括りではなく「エクスペリメンタル」に区分けするかもしれないが、おれがその音にふれて感じたのは「ロック！」に他ならなかったので、ここに挙げる。基本的にインプロなのだけど、ふしぎにポップ。

Day No How Wishyunu (Wishyunu, 2010)

何だかなつかしい感じのするアルバム。しょうじき、あえて「ベスト」に挙げるようなものではないような気もするのだけど、じっさいよく聴いたので。