実在的性質の閉包原理と神の存在可能性の同値性の証明（後半部） [趣味のゲーデル]

昨日その証明の前半部だけを公開した、ゲーデルの神の存在証明における実在的性質と神の存在可能性の同値性のフォーマルな証明がいちおう完成したので、需要があるんだかないんだかよく分かりませんが、毒食わば皿までってことでこの完成版も公開します(PDF)。

と、これだけでは何なので、無理を承知で全体の証明戦略をあたうかぎり自然言語にて言いかえると、大略つぎのような感じになります。

• 全体目標
  「複数の実在的性質からなる性質は、また実在的性質になる」という「実在的性質の閉包原理」と、「神が存在することは可能である」という「神の存在可能性」は、じつは同値である。
• ステップ1
  そのために、まず、実在的性質の閉包原理が、「神」が実在的性質であることを含意することを証明する。
• ステップ2
  つぎに、「神」が実在的性質であることが、神の存在可能性を含意することを証明する。
• ステップ3
  以上のステップ1およびステップ2をぎゃくにたどりなおす。つまり、神の存在可能性は「神」が実在的性質であることを含意し、「神」が実在的性質であることは実在的性質の閉包原理を含意することを証明する。
• ステップ4
  以上を考えあわせると、((実在的性質の閉包原理 ⇒ 「神」概念の実在性 ⇒ 神の存在可能性) ∧ (神の存在可能性 ⇒ 「神」概念の実在性 ⇒ 実在的性質の閉包原理)) ⇒ (実在的性質の閉包原理 ⇆ 神の存在可能性) となる。

もっとも、いくら「あたうかぎり自然言語で」といっても、これだけでは何が何だかでしょうから、興味のある方はぜひここいらの記事を参考にしつつ、読解にはげんでみてください。けっこうおもろいですよ。