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朝起きて(そう、「朝」にはちゃんと起きているのです!)ブラインドを開けると、窓から見える小高い丘にうっすらと雪化粧が。最近それなりに(ほんとうに、それなり、だけど)あたたかくなってきたなあ、と思っていたのだが、まだまだ油断はできない、ということだろうか。とはいえ、現在の天気自体は「快晴」といった具合で(気温はけっこう低いけど)、こういう日にちょっと遠出するとさぞかしきもちよからん、と思えど、そんなことを実行に移せる身でもなし。
遠出はともかく、いずれにせよ食料の買い出しに行かなくてはならないので、では早速、といきたいところだが、昼ぐらいに荷物が届くはずなのですぐに飛びだすわけにはいかず、それまでの時間を文献読み等に充てることにする。そして、こういう「隙間時間」こそは、たとえば『プリンキピア』を読むなどの「ねばならぬ」ではないアクティヴィティをするべきだ!とは思えど、もろもろの進行を考えるとそんな悠長なこともしていられず、けっきょく、資料として入手したはいいがまだ検分が済んでいないThe Five Gospels やThe Complete Gospels のページを繰ることにする。
The Five Gospels は、その名のとおり、「正統派」の聖書に所収されているマタイ、マルコ、ルカ、そしてヨハネの四福音書にトマス福音書も加え、そのそれぞれにかなり詳しく註釈を付したもの。「註釈を付した」だけであればそれほどめずらかではないのでが、このThe Five Gospels の場合、イエスの発言のいちいちに関して、有識者に「その発言がどれほどの真実性を有すか」、つまりは「その発言をじっさいにイエスが言ったかどうか」について投票させ、それに基づいて、「かなりの確度でじっさいイエスが言ったであろうもの」は赤、「やや疑問はあるが、たぶん言ったであろうもの」はピンク(と書いてあるが、おれにはうすむらさきにしか見えない)、「かなり疑問はあるが、言ったとしてもおかしくはないもの」は青、そして「じっさいには言ってないであろうもの」は黒と、4種の色分けをして印刷されており、ひじょうに興味深い。
The Complete Gospels は、これまたその名のとおり、現行の「正統派聖書」に所収されている四福音書だけではなく、トマス福音書はもちろん、マリア福音書や擬Q文書など、現在知られている「福音書」を集めたもの。ここに収められた多くはその真正性、つまりは「イエスの言行録としての価値」という点から見れば、かなり疑わしいもの、ではあろう。だが、後述する理由のように、そうした真正性をそれだけ専一に問うても、あまり意味のないこと、のような気がする。ともあれ、このThe Complete Gospels は、イエスの幼少時を録した(とされる)ヤコブ福音書、およびトマスによるイエスの幼少時福音書(前述のトマス福音書とはべつもの)などは、以前から読んでみたかったので、たのしみである。
さて、このように、べつだん信仰があるわけでもなく、そして将来信仰を持つようになることもほぼ確実にないであろうのに、なにゆえにこんなにキリスト教関連文書を読んでいるのだろうかと、ときおり自分でもいぶかしく思う。その理由の一端は、たぶん、何だってキリスト教はこんなにもべらぼうな覇権をとることに成功したのか、という興味にあるような気がする。「覇権」と言ってしまうと、何だか「権力者のツールとしてのキリスト教」という視座が全面に出てしまうが、そういうこと(だけ)ではなく、いっぱんの市井の人びとが、なにゆえにキリスト教にやられたのか(「たんなる上からの押しつけが定常化したのだ」という意見もあろうが、それだけで済む話ではない、と思う)、そこが知りたい。だから、上述のような、その真正性に大いに疑いのある諸福音書群も、「キリスト教についての、あるイメージ、および把捉の鮮明なる現れ」として、ひじょうに興味深いのだ。
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