忍者ブログ

ゼミの仕込みのために、聖書、とくに「新約」と呼ばれるそれの諸福音書を読みこんでいるのだが、読めば読むほど難儀な印象が募ってくる。

その「難儀さ」は、身もふたもない言い方をしてしまえば、「無理を通した結果」であると思われるのだが、その結果の是非はともあれ(やはり、そもそも「信仰の種」のようなものがこちらにないと、そうした「無理を通した結果」を「是」として受けとるのはむずかしい)、そのような「無理の通し方」のあれこれは、ひとつの(だが、巨大な)テクスト解釈実践の例として、すこぶる興味深く、また、刺戟的である。

そもそも、旧約であれ新約であれ(最近では、「聖書業界」的ポリティカル・コレクトネスの求めるところに従って、「旧約聖書」ではなく「ヘブライ聖書」という呼び方がなされることが多い。じっさい、おれがメインテクストとして使っているThe New Oxford Annotated Bible では、その「ヘブライ聖書The Hebrew Bible」なる呼称が用いられている)、そこに収められた各編を「個別」に読む分には、それほど難儀な印象は受けない。「難儀さ」は、そうした個々のテクストを相互に結びつけ、それらテクスト間に一本の強固な「筋」を認めようという企みから立ち現れる。

たとえば、聖書を読むうえで、「予表論的」と呼ばれるかなり一般に流通した読み方がある。これは、新約に書かれていることはヘブライ聖書に「予め表されていた」、とする読み方である。だから、上に挙げたような注釈付きの聖書を開くと、そこにはむすうの相互参照が、新約内でのみならず、新約・ヘブライ聖書間に張りめぐらされているのが見出される。ときに支えあい、ときに反撥しあうそれらむすうの糸をたぐり寄せ、そして辿っていくことは、めんどうだがおもしろい。

そのような、「信仰の拠点」としてではない、「解釈の闘技場」としての聖書に逍遥することを、しばらくたのしもうと思う。

PR
この記事にコメントする
お名前
メールアドレス
URL
コメント
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
カレンダー
02 2017/03 04
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 15 16 17 18
19 20 22 23 24
27 28 29 30 31
最新トラックバック
メール
ブログ作成者(はやし)に直接訴えたいことがある、という場合は、下のアドレスにメールをどうぞ。

thayashi#ucalgary.ca
(#を@に置換してください)

ブログ内検索
Google
WWW を検索 このブログ内を検索

はやしのブログ内で紹介された
 書籍の検索はこちら
 音盤の検索はこちら
ランダムおすすめ
(忍者ブログに引越してから、うまくうごかなくなってしまいました。いつか、直します)
Randombook
このブログで紹介したことのある本をランダム表示。
Randomusic
このブログで紹介したことのある音をランダム表示。
自分がらみのリンク
はやしのブログ書籍一覧
このブログで言及された書籍の一覧。
はやしのブログ音盤一覧
このブログで言及された音盤の一覧。
最近のおすすめ本
最近のおすすめ音

Copyright © [ はやしのブログ ]
No right reserved except those which belong to someone else.
Special Template : 忍者ブログ de テンプレート and ブログアクセスアップ
Special Thanks : 忍者ブログ
Commercial message : [PR]