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絢爛たる文献紹介と、研究者のたのしみと苦労をつづった日記で、いつもたのしませていただいている斜塔堂さんが、「英文で書かれたギリシア語のいい教科書を知っていたら教えて!」と言っていたので、浅学非才の身を顧みず(というか、ギリシア語を勉強したのははるか昔の話で、いまでは辞書なしでギリシア語のテクストはほとんど読めない!)、「ぼくはこんなんで勉強してました」というギリシア語教科書/参考書一覧をメールで送った。他の誰かにとっても何かの役に立つかもしれないので、その参考書/教科書一覧をここに再録しておく。

  1. The Joint Association of Classical Teachers' Greek Course (eds), Reading Greek (Vol. 1, Vol. 2, Study Guide), Cambridge
    これは有名なのでご存知かもしれませんが、今日ひさかたに学校の図書館で見かえしたところ、やはりとんでもないコンセプトの教科書だな、とあらためて感じました。何となれば、ふつう語学教科書でよくあるような「あれは誰ですか?」「あれはメリーです」式の短文ではなく、アイスキュロスやらプラトンやらの原文をいきなり読ませてしまうのですから。2分冊目の文法の巻もよくまとまっており、文法書としては小著ながらも、小辞についてけっこう深くふれていたりして、あなどれません。最近新版が出たようですが、旧版でじゅうぶん、と思われます(旧版なら1冊あたり1ドル程度で買えます)。(ここで、あたかもプラトンやアイスキュロスのテクストがそのまま収録されてるかのような書き方をしてしまったが、そうではなく、それらの人たちのテクストを織り込みつつ、あらたに書き下ろされたギリシア語テクストが使われている)

  2. Francis H. Fobes, Philosophical Greek, Univ. of Chicago Pr.
    書名が示すとおり、ギリシア語で書かれた哲学テクストを読みことに特化した教科書で、前半はふつうの教科書風ながら、後半はアリストテレスのピュシカを筆頭に、ギリシア語の哲学的テクストをがっつり読まされます。文法の記述も、詳しすぎず、かといって簡素に過ぎるわけでもなく、いいバランスでまとまっている、と思います。

  3. Andrew L. Shiler, New Comparative Grammar of Greek and Latin, Oxford
    「比較文法」と言いつつ、音韻論がかなりの分量をしめ、ちょっと詐欺っぽいですが、それでも、いろいろと示唆されるところがあると思います。ぼくは、いわゆる「ワードビルダー」的な使い方をしていました。

  4. Antonius N. Jannaris, A Historical Greek Grammar, Georg Olms
    ギリシア語は、よく知られるとおり、地方や時代によってじゃっかんの(ときには、相当程度の)ちがいがありますが、この本はそういうちがいを知るのによい本です。ただ、図書館などで適宜参照すればよいというたぐいの本で、所有するにはおよばない、と思われます。

  5. John D. Denniston, The Greek Particles, Oxford
    ギリシア語はご存知のように、小辞のシステムがたいへん発達しており、それらに関する知識を涵養しておくと、ギリシア語を読む「深さ」がまるでちがってくる、そうです(学生時代先生にそう言われました)。ただこの本は、あんがい「そぞろな読書」にも向いており、ギリシア語を読むさい「深さ」が養われたかどうかはきわめてあやしいですが、それなりに愛読しておりました。

  6. Charles Guiraud, Grammaire du grec, PUF
    おなじみQue sais-jeの1冊で、小著ながらもおたくっぽい記述でたのしい本です。(翻訳あり)
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コメント
「斜塔堂さん」のサイト、「bibliotheca hermetica」に出合って以来のわくわくするサイトでした。ご紹介ありがと。
Sita 2008/01/25(Fri)07:22:00 編集
ギリシア語の教科書/参考書リストよりも、斜塔堂さんのとこの紹介がこのエントリの「真の目的」だったりします。ただ、ほんとうを言えば、斜塔堂さんのようなところは、できればナイショにしておきたかった、という気持ちもなきにしも(だから、だいぶ以前に「隠しページ」のようなところで、「知ってほしいんだけど、でも同時に、知られたくないなあ」という感じで紹介したことがある)。
はやし 2008/01/25(Fri)11:15:00 編集
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