借り本 [本]

時間がないときはおなじみのこのお手軽なネタにかぎります。

• Frank Kermode, The Genesis of Secrecy, Harvard
  新約聖書、とくにその福音書と、カフカ、ジョイス、そしてピンチョンをならべて語る、見ようによっては（よらなくても？）「無茶」とも言える本。宗教哲学ゼミの先生が授業中にこの本について話をしていて、何だかおもろそうだったので借りてみました。
  
  
• D.R Ruccio and J. Amaliglio, Postmodern Moments in Modern Economics, Princeton
  小泉さんがこのエントリで名前を出していて、「ふーん」と思ったので借りてみた。内容的には、「ポストモダン的（これがじっさい何を意味するのかはさて措いて）経済（思想）史」とでも言ったところで、ケインジアン、新古典派、制度派なんかの経済諸派が、「それ風」な感じで語られています。けっこうおもしろそう。
  
  
• Donald Davidson, Problems of Rationality, Oxford（翻訳）
  デイヴィドソンの行為論と意味論をつなぐ「かなめ」の書？　ともあれ、「諸価値の個人間比較」なる、社会選択論的にも重要そうな論文も入っているので、これだけでも読んじゃいたい。あと、巻末のインタヴュもいい感じ。つうか、この本の翻訳の「この商品を買った人はこんな商品も買っています」のところにキューネンの『集合論』が並んでたんだが、ついに出たのか！　しかも、てっきりシュプリンガーからだとばかり思っていたら、日評からだったとは！（デイヴィドソンとは関係のない落とし方になってしまった）
  
  
• Lewis W. Beck, Early German Philosophy, Harvard
  副題に「カントとその前駆者」とあるように、アルベルトゥス・マグヌス、マイスター・エックハルトという「ドイツ哲学はじめの一歩」といったところから説きおこし、ヴォルフ、メンデルスゾーンというカント直前期の大物を経て、ついにはカントその人自身に至る「ドイツ哲学一大叙事詩」といった趣きの書。全部読むとかなりためになるんだろうけど、とてもそんな時間はないな。
  
  
• Stephan Körner (ed.), Philosphy of Logic, Logic
  ダナ・スコット、デイヴィド・ウィギンス、ヤーッコ・ヒンティッカなどの基調講演に、マイケル・ダメット、ダグ・ピラヴィッツ、イアン・ハッキングなどがコメントを寄せ、そしてそれに対してまた基調講演者が返答する、という構成の本。こういう、まず問題提起があり、それに対するコメントをはさんで、さらにまたリプライがあるという構成は、色んな意味で勉強になることが多い。
  
  
• Peter T. Geach, Logic Matters, Univ. of California
  ピーター・ギーチの、色んな媒体に発表したペーパーをまとめた論文集。前にも一度借りているのだけど、そのときは全然読めなかったので、今回は拾い読みでもいいから読んでしまいたい。
  
  
• John S. Mill, A System of Logic, Liberty Fund
  ずーっと読みたかったミルの論理体系論を、やっとこさ落掌（って、べつに手に入れたわけではないんだけど）。ミルはもちろん、いわゆる「現代論理学」のことなぞ知らないわけで、いきおい現在「論理学」と呼びならわされているそれを念頭において読むと、ずっこけてしまう部分もなきにしも、だろうけど、でも、「ものを考えること」についてこれほどぎちぎち考えつめた本というのは、いまの基準で言ってもなかなかないのではないか、と思う。ミルのほかの著作を知る＝読むうえでも、けっこう重要、な感じがする。ちなみに、ウェブで全文読めます。

ほかにも借りていて、でもここで紹介していない本はまだ（かなり相当）あるのだけど、なかなかに逼迫した状況なので、こんなもんで。