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今日、何の拍子でかアマゾンでウィリアム・ギブスンの新作Spook Country のページをつらつら眺めながら、「そういえばあのころの人たち、たとえば、ルイス・シャイナー(『グリンプス』は、サイバーパンク文脈ということを無視しても、名作である)だとかジョン・シャーリーだとかって、いまどうしてるんだろ?」と、いろいろと昔日に思いを馳せながら、そこからリンクを辿っていると、Rewired という「ポスト・サイバーパンク」アンソロジーにぶちあたった。

思えば、何の因果か小学校高学年のときに『ニューロマンサー』に出会い、その何とも言えず薄暗く、どこか「ただれた」イメージにやられながらも(後年、この『ニューロマンサー』を原書で読みかえしたが、日本語で受ける印象とあまりにちがうので驚いた覚えがある)、同時期に読んだ「サイバーパンク」と銘打たれた作家たちには、それほど感銘を受けなかったので、言うほど「サイバーパンク」系の作家を読んだことがあるわけではない。だから、その後の展開なぞ知るわけもないのだ。

そういうわけで、さっそく学校の図書館のページを立ち上げ、上のRewired を検索するも、残念ながら蔵書なし。しかたがないので、ほかにいろいろと思いつくかぎりの「そっち系」の書籍を検索し、サイバーパンク・アンソロジーの古典『ミラーシェード』やら、ラリー・マキャフリー編纂の「サイバーパンクとポストモダンSF」アンソロジーStorming the Reality Studio やらが気になったので、飯を食いに行きがてら、図書館にチェックしに行った。

『ミラーシェード』は以前に読んだことがあるので軽く検分だけして(とはいえ、ちゃっかり借りてきた)、マキャフリー本をじっくり見てみると、これが、まず全体の構成がフィクション編とノンフィクション編に分かれており、フィクション編にはギブスン、スターリングなど、サイバーパンクの大御所はもちろん、キャシー・アッカー、トマス・ピンチョンなど、いわゆる「ポストモダン作家」に分類される人びとにまじって、そうしたポストモダン作家たちに(もちろん、サイバーパンクの人たちにも)影響をあたえたと思しきJ.G.バラードやバロウズの名前も見える。ノンフィクション編は、ボードリヤール、デリダ、リヨタールなどの「いかにも」な人たちのほかは、ほとんど名前を聞いたことがない書き手ばかりで、そこがぎゃくに新鮮でよい。とりあえず目に留まったのは、

  • Veronica Hollinger, "Cybernetic Deconstruction: Cyberpunk and Postmodernism"
  • Timothy Leary, "The Cyberpunk: The Individual as Reality Pilot"
  • Larry McCaffery, "An Interview with William Gibson"
  • Brian McHale, "POSTcyberMODERNpunkISM"
  • Darko Suvin, "On Gibson and Cyberpunk SF"

といったところ(にしても、ティモシー・リアリーはまた、脳みそがとろけたようなこと言ってんだろうなあ)。

しょうじき、「ポストモダニズム」と呼ばれる思想潮流と、そしてサイバーパンクがどれほどの内的/外的コネクションがあるのか、ちょっと懐疑的ではあるけど、そこいらを考えるためにもまずはHollinger論文およびMcHale論文あたりから読んでみましょうか。

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コメント
Spook Countryはまだ訳本出てないですね。登場人物が、架空の雑誌のジャーナリストやら、ジャンキー、Madな画商やら、なんか訳ありの奴等ばっかという感じで早く読んでみたいのに。
で、ティモシー・リアリーって先輩じゃなかったっけ?
Sita 2008/01/28(Mon)16:54:00 編集
ギブスンってアメリカでなんか変なこと言って叩かれてなかったっけ?
宗教か人種のはなしで。
でもパターンレコグニションは面白かったなあ。
もうだめだって思っていたけど。
シンキチ 2008/01/28(Mon)21:11:00 編集
こっちで原書が出たのが去年の8月ぐらいだから、そっちでも今年の6月ぐらいまでには出るんじゃないかな。

で、そう、何の因果か、彼は先輩なのです。
はやし 2008/01/29(Tue)11:25:00 編集
ギブスン、何か物議をかもすようなこと言ってたっけ? 彼の場合、人種がらみってことはなさそうだから、ありうるとすれば宗教がらみなような気がするけど(ごくぼんやりと、イスラムがらみで何か言ってたような気がするけど、ほんと「気がする」だけ)。

で、ギブスンはおれも、『モナリザ・オーヴァードライヴ』を読んだとき、「こりゃもう枯渇しちゃったかなあ」と思っていたんだけど、『パターン・レコグニション』はけっこういいらしいね。"Spook Country"の前に、読むならまずそれだな。
はやし 2008/01/29(Tue)11:29:00 編集
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