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トマス・ピンチョンの『重力の虹』は、色んな意味での読みがたさ、たとえば、端的に分厚いだとか、がんばって読んでも何が書いてあるのかイマイチ分からない、といったことが災いして、ものすごく有名なわりにものすごく読まれていないという不幸な状況におかれている。
もちろん、「何が書いてあるのか分からない」ということに関しては、以前も紹介したワイゼンバーガーによる注釈本で何とかならないことはないのだが、そうなると今度は、ただでさえ分量的に難儀なのに、それにさらにページ数が上乗せされることになり、この方途はけっこうな好き者以外にはあまり勧められない。
そんなにっちもさっちもな状況を打破するようなとんでもない本が、去年の暮れに出ているのを知った。ニューヨーク在住のパンクな画家ザック・スミスが、『重力の虹』のペンギン「20世紀の古典」エディションの1ページ1ページに完全対応させて挿絵を描いた狂気の作『図解で分かる! 重力の虹』(意訳)がそれだ。
もちろん、この挿絵集だけで「『重力の虹』がすべて分かる」ということにはならない。というか、はっきり言って絵だけ見ても、対応する『重力の虹』のページで何が起こっているのかまったくもって分からない。ただ、「よく分かんねえ!」と呪詛の言葉を吐きながら義務的にページを繰るより、とりあえず該当ページを読み、「よく分かんねえなあ」とぼやきつつこの挿絵集に眼をやって、文字情報と視覚情報の相互交感を楽しむほうが、分からないなりにもいいのではないだろうか。また、さいしょっからこの挿絵集だけを見て、気になった絵があったらそれに該当する原書ページを読んでみる、というのも、なかなかオツな楽しみ方だ。
そんなわけで、けっきょくこの挿絵集も「好き者」向け、なのかもしれないが、ザックのドローイング自体もわるくないし、それ単体でもなかなかのものだと思うので、気になるかたはちらっとでも覗いてみるといいかもしれません。
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