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サイケデリック、もしくはサイケと呼ばれる音楽がある。
「サイケデリック」という言葉はもともと「幻覚剤」を意味していたことからも分かるように、この呼称を冠せられるような音楽は、そういうものをキメて演奏・録音したと思しきヨレ具合が特徴だ(この手の音楽を、「聴き手に酩酊感をもたらす音楽」と捉えている向きも見受けられるが、これは端的に間違った捉え方だと思う)。
もちろん、こういう呼称が創出されるぐらいだから、そのような音楽はある程度パッケージ化、つまりは「サイケってこんなんだよね」という定型化がなされ、じっさいにその手のものを使用しなくても、サイケデリックと呼ばれうる音楽は作れるし、現在はむしろクリーンな体と精神でそういう音楽を作っている人が多い、と思われる。
そんななか、あやしげな薬物もキメず、さりとてパッケージ化されてあるところのその手の音楽を模倣しようとしたわけでもないだろうに、出てくる音像は「サイケデリック」以外の何ものでもないような、そんな人たちが存在する。そういう人たちこそ、ここで言う「天然サイケ」である。
いや、ほんとうのところ、じっさいに何らかの薬物をキメていたり、パッケージ化されてあるところのサイケデリックミュージックに範を採っていたりするのかもしれないが、ふつうそのように考えられるような人たちの音楽よりも、ここで「天然サイケ」として分類したい人たちの音楽は、もっとあぶなげで、そして純粋な響きをもっている。
そういう「天然サイケ」を、とりあえず3枚ほど紹介。
Deep Motif Azalia Snail (Candy Floss, 1996) |
彼女は、じっさいにクスリをキメているかどうかはともかく、「サイケ」と記号化して呼ばれている音楽を意識的に聴いている疑いが濃厚だが、このアルバムで聴かれる響きはまぎれもなく「天然サイケ」のそれである。出すアルバム出すアルバム、作っている枚数が少ないのか、それとも流通をあまり気にしないのか、日本では手に入りにくいようだが、それほど高額ではなく手に入るはずなので機会があればぜひ聴いてほしい。思いのほかちゃんと作ってある彼女のHPからでもたぶん入手可能。ちなみに、YouTubeでは本人がアップしたと思しき映像がけっこうあり、そのヨレっぷりの一端を垣間見ることができる。
Graven Image Jandek (Corwood, 1994) |
これは、あまりに有名すぎて挙げるのもはばかられないでもないのだが、やはり挙げざるをえまい。色んな意味で「天然」な、ほとんど「向こう側」に行ってしまいかけているジェンディクの数多いリリースから、もっともキャッチーと思われる本作を。ジャケに見られるような、ふとした日常にひそむ「ただならぬ感じ」がよく出ている。ここまでくるとヨレてるのかそうでないのか、よく分からない。
Palaa Aurinkoon Islaja (Fonal, 2005) |
たぶんクスリはやっていないだろうが、ほぼ確実に「サイケ」と呼ばれる音楽は聴いていそうなイスラヤ嬢の2005年発売のセカンド。さっき調べてみたら、ごく最近(今月11日)ワルシャワの招聘でライヴを行なったらしいことを知った。これがきっかけでビョーク的な消費のされ方をしないことを祈る。ともあれ、不定形な音像が織りなすヨレっぷりは聴きもの。
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