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お前はどういうことを勉強しているのか、という問いに、哲学と数学にまたがったようなことをやっている、と答えると、日本ではほぼかならず、哲学と数学にどういう共通項があるのか、と訝しげな顔をされる。向こう(アメリカ)では、ロジックだよロジック、とでも言っておけば、ああなるほど、と(とりあえずは)納得してくれるのだが、日本ではそうもいかない。
もちろん日本でも、哲学、あるいは数学をそれなりにちゃんと勉強した人であれば、何となくは察しをつけてくれるのだけど、たいていの人は哲学についても、そして数学についても、ほとんど何も知らない(ロジックについては何をか言わんや)。だから、ちゃんと説明するとなると、哲学や数学について、ここらへんぐらいまでは前提知識として知っておいてもらわねば、ということから説き起こさねばならず、それもそうとうに面倒なので、哲学も数学も「抽象物」をめぐる思索である、という、間違ってはいないが雑駁すぎる答えでお茶を濁すことになってしまう。
たしかに、哲学と数学というものについて、だれしもぼんやりとしたイメジは持ってはいるだろう。ただ、持ってはいるけど、だいたいが「敬して遠ざける」といった付合いしかしていないので、それらは無用に秘教的な衣をまとっており、そしておうおうにしてその「理解」は「誤解」に基づいている。だから、時間さえあれば、哲学、そして数学について、そのほんとうに初歩的な部分から説明して、そうした「秘教的な衣」をひきはがし、その「誤解」を解きたい、とつねづね思ってきた。
というわけで、ここでひとつ、哲学と数学について、いたずらに抽象論に走るのではなく、歴史的具体性をおびたかたちで、実際問題それらのいとなみは何をしているのか、という問いに答えようと思う。目標としては、だいたい、中学卒業程度の人であれば理解できるようなものにしたい。
具体的に何がどうなるか、たとえば、いつから始めるだとか進行のペースだとかについて、いまはまったく何のヴィジョンもないのだけど、自分を鼓舞するためにも、とりあえずこうした「プレスリリース」を打っておく。
ルーマンはごくたんじゅんに「社会学者」ということでいいと思います。もっとも、そもそも「社会学」とは何か?というところで、色々と事態は紛糾しがちであるという事情も諒解していますが。ただ何より、ルーマンはその生涯においてほとんど切れ目なしに「社会」を問題にしてきたし、また、方法論的に見ても、ヴェーバー的な端緒からそれほど逸脱しているわけでもなく、世間いっぱんで言われるほど「異端」ではない、というのがぼくの見立てです。
また、ある領域(たとえば、社会学)のテクストで、それとは異なる他領域(たとえば、生物学)の知見が用いられている度合いをもって、その当の領域からの逸脱度合いを推し量るというのは、ちょっと無理がある、と思われます。なんとなれば、今日びある領域のことを論じるときに、その当の領域に閉塞したマテリーだけで事足れりとする事例はむしろ少数でしょうから。ひるがえってルーマンを観じても、他と比べてべらぼうに他領域への参照が多いようにもぼくには思われません。
また、それが学際的なものであれ何であれ、学問というのは本質的に「現実」に一歩遅れを取らざるをえないものとしてあります。そして、いみじくもデリダが喝破したように、学問の欲望というのは「自分が話すのを聞きたい=自分の言うことが厚みなしに現実と切り交じるようにしたい」というところにあり、そこから、諸々の困難や虚偽が溢れ出してくる。だから、ルーマンがその「学」を構築するのに、「自己参照/自己準拠」というものにあれほど重きをおき、のみならず、「いままさに構築しつつある学」そのものも、当の「学」に織り込もうとしていたというほとんど「狂気の沙汰」も、ふかく頷けるところです。
ちなみに、「学際性」ということについて言えば、大枠では「謂れのない垣根は壊しちまえ」ということは前提にしても、安易な「学際研究」という名のもと、いい加減なことが行なわれていないでもない現状に、それなりの危惧をいだくものであります。何だかんだ言って、いくら「学際性」の旗印のもと仕事がなされるにせよ、それに参画する各々に、「スペシャリスト」としての必要最低限のディシプリンはどうしても必要になってくるでしょう。
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