毒舌 [音]

「モータウンからセント・エチエンヌまで」という音楽的幅を持つとされるラッキーソウルのデビュー作が各所でえらい好評なので、ポップマエストロのおれとしては聴かずばいられまい、ということで、聴いてみた。

……んだけど、なんだこりゃ？　全然ダメだろ。まず、音質およびヴォーカルの歌い方がまったくなってない。音質に関しては「聴けば分かる」ので省略するが（聴いて分からないあなたは、そもそも「音楽を聴く」といういとなみに向いていないのです）、問題はヴォーカル。この手の音楽でむずかしいのは、ヴォーカルの自己表出具合をどうコントロールするかなのだが、このラッキーソウルの人の場合、自己表出がきつすぎて、聴いていてたんに暑苦しいだけ。そこいらへんを如上の「権威筋」はスミスなんかを持ち出して正当化しようとしてるけど、それは何がなんぼでも暴論、モリッシーに失礼だろ。百合の花束を持参して謝りに行け。あと、ヴォーカルの声質について、「ロリータ」だの「キュート」だの言われてるけど、少なくとも「ロリータ」ではまったくないな（おれは「キュート」だとも取り立てて思わなかった）。

つわけで、まあ、聴いていて「ちょっとそのCD止めてくんない？」と思わず嘆願してしまうほどひどい代物ではないけど、それほど絶賛に値するものではないですね。アマゾンレヴュワーのおめでたさ爆発の低能さ加減で、そこいらへんを察していただければ。おれはこれだったらおニャン子クラブでも聴いてます。