しずかな生活 [日々]

歩道を引っぺがす工事は終わったようで、外からはもう騒音は聞こえてこない。聞こえてくるのは、鳥のさえずりだけ。少し暑いけど、ときおり窓から吹きこんでくる風がとてもきもちいい。娘は、昼ごはんを食べてやや眠いらしく、父の足もとでごろごろしている。

とっちらかった日常 [日々]

外からは歩道をひっぺがす工事の音。室内ではそれに拮抗するように爆音でブラック・ノイズ。そんななか、娘は奇声をあげながらおもちゃ箱をひっくり返し、父はそしらぬ顔でプルーストを読んでいる。

趣味の禁煙 [日々]

昨日から煙草を吸っていない。理由はたんじゅんで、煙草の買い置きがなくなったのだけど買いに行くのがめんどくさく、そのまま煙草を吸わずに過ごしていたら、手足にふわっとするような感覚がおとずれ、それがしだいに倦怠感とも酩酊感ともつかない様相で全身にひろがり、その倦怠感とも酩酊感ともつかない何かがいつのまにやらしびれるような眠さとして頭皮と眼孔まわりから頭の芯にむかって突き進んで、ついには一点に凝縮したそれがさあっと盤面を白く塗りつぶしたところでふりだしに戻るといった、つまりはニコチンが身体から抜け出すことにともなう禁断症状がことのほかおもしろく、これをこのまま放置したらどういう沙汰になるのか、ひどく興味をそそられたからだ。それに、なるほどたしかに「煙草を吸いたいな」と思いはすれど、そう思ったいきおいで24時間営業している近くのガス・ステーションに駆けこみなじみの銘柄を一箱あがなって一服つけたところで、それは「いま煙草を吸ったらさぞかしうまいだろうな」という仮想の一服のうまさに勝てるわけもなく、ならばいっそ、そうした虚をこちらにむけてしずしずとたぐりよせ、「なあんだ、こんなものか」という落胆しかもたらさない実へそれが転化するかしないかの被膜に遊んだほうが粋というものだろう。

そんなわけで、この遊びに飽きるまでは、もうすこし煙草を吸うのを控えてみようと思っている。

「今日は暑いなあ」と思ったけど [日々]

汗ひとつかかずにホットコーヒーが飲めてるのでまだそれほど暑くない。

ぶどうの房のような雲が流れていった。 [日々]

あれは、何て雲なんだろ？

⇒「乳房雲」って言うらしいです。ふむ。

異界のにおい [日々]

ネットの有名な異世界話に「異世界の空気にはどくとくのにおいがある」というくだりがある。これは、ぼくがはじめてぼくが通ったアメリカの大学がある町に降りたったときにも感じたことだ。あの町の空気は、ピンク色のバブルガムのようなにおいがした。いまでもふと、あのにおいを思い出す。あれは、何のにおいだったんだろう。

You gotta be kidding me... [日々]

雪降ってる。それもけっこうな勢いで。

【約30分後】

ちゃくちゃくと積もっている。

ぼんやりした日々 [日々]

ぼくは、基本的にはぼんやりしていないつもりだ。たとえば、道を歩くときなど、曲がり角の向こうに刺客が潜んでいないか、いつも気を張っている（もっとも、そういう生起確率のあまり高くない事象に気をとられて、水たまりに足を突っこんだりするのだけど）。ただ、勉強や執筆をしているときは、それ以外のことにかんしてまったく気がまわらなくなってしまう。つい先日は、執筆最中にコーヒーを飲もうと思って、台所にゆき、戸棚からインスタントコーヒーの瓶を取り出し、マグカップにインスタントコーヒーの粉を入れ、そして、インスタントコーヒーの粉を入れたマグカップを戸棚にしまい、その時点でも自分がしでかしたことのおかしさに気づかず、インスタントコーヒーの瓶を片手にやかんを持ちあげてはじめて「あ」と思う始末で、これはあまり深甚な結果を生むやらかしではなかったけれど、こうしたことがつづけば、いつかは甚大な被害が生じてしまうことだってありうるわけだし、気をつけようと思った。

心がわり [日々]

朝、奥さんを仕事に見送ったあと、子どもが「おかあさんいっちゃったあ！」と大泣きするのだけど、1分もたたないうちにちょうごきげんでムーミンのぬいぐるみで遊んでいたりするので、この切り替えのはやさは見ならいたいな、と思う。

長かった冬が終わり短い夏がやってくる。 [日々]

こう書くとなんだか「しょんぼり」といった印象をあたえてしまうかもしれないけど、ぼくは夏があまり好きではなく（端的に「きらい」と言ってもよい）冬はそこそこ好きなので、このような「長い冬と短い夏」というサイクルはわるくないな、と思うのです。