2013年音盤ベスト（歌もの（男）編） [音]

2013年音盤ベスト、エレクトロニック編、ノイズ編、ドローン編に引きつづき、歌もの男編。

各アルバムから1曲ずつチョイスしたミックスはこちら。

Faux Fur Faux Fur (Self Release)

合ってるような合ってないようなギターのからみが印象的。曲によって聴かれるフィーリーズ的な前のめりビートもよい。Bandcamp で全曲試聴可。

Vessels of Devils Romantic States (Self Release)

単音弾きが基調のギター、訥々と打ち鳴らされるドラム、そして変にリラックスしたボーカルという編成の、「デプレッシブ・エレキ・フォーク」とでも言いたくなるような音。メロディ自体はそれほど暗くはないところが、うらさびしさを加速させる。Bandcamp で全曲試聴可。

Fuzzy Logic Jerry Paper (Digitalis Limited)

インチキくさい南国感覚がたまらない。Bandcamp で全曲試聴可。

The Flower Lane Ducktails (Domino)

1970年代的ないなたいポップ感覚がたまらない。

Late Pass Jel (Anticon)

今年は、これまで苦手意識のあった（そしていまでもなお、ある）ヒップホップを聴けるようになろうと、いろいろと聴いた。そのなかでも、リリース作がかなりロック色のつよい Anticon ものはやはり聴きやすかったのだけど、そうしたなかでも、Anticon の設立者のひとりである Jeffrey Logan の Jel はかなり聴きやすく、そしてかっこよかった。

Some Say I So I Say Light Ghostpoet (P.I.A.S.)

「これは文句なくヒップホップだろう！　おれもヒップホップが聴けるようになった！」とよろこんでいたら何とチャールズ・ヘイワードが参加していることが判明。ということは、じつは、ヒップホップではない要素にやられていただけなのかもしれない。

End Times Queens (Dial Records)

Jandek のカバーをやっていることを知って即購入。Jandek のカバーをしようなんて気を起こすろくでもないやつがやる音楽がよくないわけはない。伸びやかなわりにさわやかさをほとんど感じさせないボーカルは Black Vatican を思い起こさせる。

Process Yvette (God Mode)

「Fujiya & Miyagi が凶暴化したような音」と言えば当たらずとも遠からずなのではないか。タムづかいが印象的なドラム、キース・レヴィン的ノーウェーヴ的な響きのギター、ゴリッとしたベース、ノイズ発生器としてのシンセ（もしかするとシンセではなくエフェクターを過剰にかけたギターかもしれない）、そしてバックの音像に比してストレートなボーカル。ふと見せるポップさもよい。

Exhibitionists Superhumanoids (Innovative Leisure Records)

このバンドは説明がむずかしい。Discogs の記述では "dreamy pop that shouts summery '60s harmonies, garage rock's raw tonality, slick new-wave electronics, and the adventurous dissonance of '90s indie rock" とのことだけど、このアルバムにかぎって言えば、80年代の風味がかなりつよいように思われる（とくに、男性ボーカルの音像処理）。だから、つかまれたのかもしれない。Bandcamp で全曲試聴可。

Melbourne Jackson Scott (Fat Possum)

バックトラック自体は夢見心地な感じなのに、それに乗るボーカルの不安定さが「夢見心地」の「夢」の意味合いをシフトさせる。それがこの場合、よい方向に働いている。