2013年音盤ベスト（ノイズ編） [音]

さて、2013年音盤ベスト、エレクトリック編につづいてノイズ編である。

これも、ここで紹介したアルバムから1曲ずつピックアップしたミックスを 8tracks にあげてあるので、あわせて聴いてもらえれば。

Archive I Torso (Total Black)

カセットのA面がハーシュドローン、B面がノイズという構成になっており、しょうじきA面のハーシュドローンのほうを、そのものがなしい雰囲気ゆえによく聴いていたのだけど、今年はノイズ作をあまり聴いていないということもあり、手持ちの駒が少なく、急遽登場ねがった。とはいえ、B面のノイズ編もけっしてわるくない。

Eat, Drink, and Be Merry Shiny Black Mater (Brave Mysteries)

端的に「ノイズ」というより、調子はずれな演奏に調子はずれな歌が乗っかるという、ネオフォークがぶっ壊れたかのような音なのだけど、感じる肌ざわりはまちがいなくノイズのそれ。

Falskt Spektrum Blodvite (Järtecknet)

箱のなかでうごめいているカブトムシの音を増幅したかのようなガサゴソ物音系が印象的な Blodvite。そうしたガサゴソ物音系から、後半はハーシュとはいかないまでもそれなりにノイジーな展開になるというのがお決まりのコース。

Man and His Becoming Âmes Sanglantes (Total Black)

これも、端的に「ノイズ」というよりは、ハーシュドローンあるいはテクノイズの風味が色濃くするのだけど、全編聴き通すと「やっぱりこれはノイズだな」と思う。2013年リリースの Alberich とのスプリット作がアマゾンでも買える。

Attention, the Doors Are Closing! Machinefabriek (Korm Plastics)

「これも端的にノイズというより」というフレーズを使いすぎて自分でもうんざりしてきたが、これも端的に「ノイズ」というより「音響工作の趣きがつよいアンビエント」としたほうがいいのかもしれない。ただ、全編を通して聴いた印象の「たたずまい」に「ノイズ」を感じたので、あえてここに区分した。Bandcamp で全編試聴可。

The Impossible Astronaut Howard Stelzer (NNA Tapes)

これも端的に「ノイズ」というより……いや、もうやめておこう。ただ、端的に「ノイズ」でもないが、かといってハーシュドローンやテクノイズというわけでもない。「カテゴライズ不能」というには「なにか」と言い切れるような感触が残りつづける。そういうもどかしさとともに。

Badlands Damian Valles (Somehow Recordings)

一聴、これはたんじゅんにドローン（それも、かなり良質な）であるようにも思えるけど、音の表面にうごめくあれやこれやはどうしようもなくノイズ的。Bandcamp で全編試聴可。

Alleviation Prayer Herukrat (Svn Okklt)

やっと「これは端的には」という限定辞抜きに「ノイズ」と断定してもかまわないものが登場。垂れ流しのノイズではなく構成もちゃんと考えられており、通しで聴いても退屈しない。アルバム収録曲から4曲が Bandcamp で試聴可。

Dark Morse Je Suis Le Petit Chevalier (Shelter Press)

これはハーシュドローンでも、いわんやテクノイズでもなく、Shadowlust と同系列のダークトロニカに区分すべきかもしれないけれど、異様なまでに淡々とした雰囲気が「静寂としてのノイズ」を感じさせるがゆえ、ここに入れることにした。Bandcamp で全曲試聴可。

First Burning Attraction Damien Dubrovnik (Alter)

これも、くだくだしい限定辞抜きで「ノイズ」と言ってもよいと思う。曲調がバラエティに富んでいるのでアルバムを通してたのしめる。