忍者ブログ

もちろん「シド」と言っても、楽器もろくに弾けないくせにのうのうとお子ちゃま音楽界のカリスマとして祭り上げられているどこかのシャブ中ノータリンのことではなく、かずかずの「あの」というもったいぶった形容を冠せられ語られがちな、シド・バレットのこと。

7月11日に死去、とのことだから、日本時間との兼ね合いから言えば、ついさっき死んだ、ということだろう(追記:朝日新聞によれば、死んだのは「7月初旬」とのこと。たぶん、このほうが正解でしょう)。

何らかの想いが胸中を去来しない、と言えば嘘になる。だが、別段「過去の人」として扱っているわけでもなければ、ことさら諸々の虚実の彼方にある「真実の像」を追い求めたりすることもなく、ふつうに月に一度はほぼ必ず彼の何らかの音源は今でも聴いているので、とりあえず音がそこにあればいい、という気持ちではある。

ただ、完全に音楽活動というフィールドからドロップして、新たな音源が届けられる可能性が限りなくゼロに近くなってから久しくとも、その音を作った人がどこかに生きている、という同時代感覚はどこかで抱いていたように思う。

そして、シドは決定的なかたちで、この世とはおさらばした。「新たな音源が届けられる可能性」はまさしくゼロになった。だが、陳腐な言い方だが、ひたすら音盤をのみ通して彼とのつながりをもっていたものにとっては、そんなことはどうでもよいことに思えたりもする。

ふと、ナム・ジュン・パイクの言葉を思い出す。「いちどテープにうつってしまえば、人は死ぬことを許されない」……。

シドの不幸はまさにこのことにあり、そして、その「テープ」に録音したものを聴くものにとっての幸福もまた、そこにある。



そんな気持ちをこめて、今日シドがらみの音源をウェブキャストするかも、です。

PR
この記事にコメントする
お名前
メールアドレス
URL
コメント
亡くなりましたね。殆どの人が悲しいというよりビックリしたという感じだと思うのですが。久々に口笛吹や帽子を聴いたら、こんな面白い音を計画的に作ってたのかーと驚いたり。
はせべ 2006/07/12(Wed)23:22:00 編集
はせべさんの言うように、たしかに「悲しい」というよりは「ビックリ」という感慨を抱きましたね。

それは、普段の感覚として、その「生死」をことさらに現前化しないで聴いていたのに、その演奏主体の「生身の人間性」をのっぴきならないかたちでやぶからぼうに突きつけられた驚きとでも言いましょうか……とにかく、いつも聴いている音楽ではあるのですが、今日はまた違ったかまえでその音に耳をかたむけてみよう、と思います。
はやし 2006/07/13(Thu)01:17:00 編集
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
カレンダー
02 2017/03 04
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 15 16 17 18
19 20 22 23 24
27 28 29 30 31
最新トラックバック
メール
ブログ作成者(はやし)に直接訴えたいことがある、という場合は、下のアドレスにメールをどうぞ。

thayashi#ucalgary.ca
(#を@に置換してください)

ブログ内検索
Google
WWW を検索 このブログ内を検索

はやしのブログ内で紹介された
 書籍の検索はこちら
 音盤の検索はこちら
ランダムおすすめ
(忍者ブログに引越してから、うまくうごかなくなってしまいました。いつか、直します)
Randombook
このブログで紹介したことのある本をランダム表示。
Randomusic
このブログで紹介したことのある音をランダム表示。
自分がらみのリンク
はやしのブログ書籍一覧
このブログで言及された書籍の一覧。
はやしのブログ音盤一覧
このブログで言及された音盤の一覧。
最近のおすすめ本
最近のおすすめ音

Copyright © [ はやしのブログ ]
No right reserved except those which belong to someone else.
Special Template : 忍者ブログ de テンプレート and ブログアクセスアップ
Special Thanks : 忍者ブログ
Commercial message : [PR]