VOL [本]

最近、「藝術と政治」ということについてちょっと考えている。このように、何かある主題をめぐってものごとを考えたり、またそれに関連する本を読んだりしていると、不思議なもので、その主題についての本がうまいタイミングで刊行されたりするものだ。今日購入した『VOL』という雑誌は、まさにその類いであった。

この『VOL』は、帯に「運動/芸術/理論」とあるように、まさしく「藝術と政治」をめぐる雑誌に他ならない（その「めぐり方」については、編集人に萱野稔人、酒井隆史、渋谷望が名を連ねている、と言えば、だいたいのあたりはつくのではないだろうか）。構成としては特集二つに雑多な記事、という感じで、「洒落た情況」という趣もある（装丁も、NTTかINAXかTOTOの刊行物のようだ）。今号の特集は、「政治とはなにか」と「アヴァン・ガーデニング」（！）というもので、おれはまだ巻頭の座談しか目を通していないけど、いずれも面白そう（ちなみに、今秋刊行予定の次号の特集は「ベーシック・インカム」と「ドゥルーズ『シネマ』」。出来すぎている……）。とくに、「アヴァン・ガーデニング」特集が、その名のもたらす「何じゃそりゃ！」なベラボーな感じと相俟って、興味深い。

でも、いまのとこ、いちばん「おお！」と思ったのは、「西成の〈経験〉　SHINGO☆西成というラッパーについて」という小記事で、と言うのも、このSHINGO☆西成って人、この間行った「釜ヶ崎寄ってき祭」（この記事を参照）の会場でうろうろしてたんだよねえ。これもまた、妖しきシンクロニシティ。