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以前も何回か紹介したことがあるのだけれど、何度でも紹介する。レッシグの2002年オライリー・オープンソースコンベンション(OSCON)基調講演Free Culture 。
ここで語られているのは、いかにわれわれの〈自由〉が蝕まれ続けているのか、ということで、見ていると、暗澹たる気持ちになるのと同時に、「こうはしていられない」という気持ちにもなる。
さて、ネット上での著作権がらみの議論においては、何らかの行為が遵法的であるか否かが問われるに終始しがちだが、そうした行為の質自体、つまり、その行為は本当に「いけない」ことなのかどうか、ということが本源的に問われることはない。
もちろん、即時的には、ある法に悖る行為というのは、推奨されることではないのかもしれない。だが、仮定的にでも、そうした行為の妥当性や、その行為を為すことによって生じる各種権利者への影響ということに関して、もっと実証的・定量的な議論が為されて然るべきなのではないか。
たとえば、ネット上にある非日本語のリソースを、その原リソースを明示し、かつ非商用で翻訳する場合、原権利者への〈害〉はどこにあるのか? もし〈害〉があるとすれば、それはどのような点においてであり、かつ、その〈害〉を回避するとすれば、どのような方途があるのか?
おれ個人の意見としては、ある非日本語で書かれたものを、その原著作者を明示し非商用で翻訳することは、原著作者にとって益することはあれど、害になるようなことは思い浮かばない。原著作者も、自分の言語圏以外の人々にもその考えを広めることができ、その受け手も当然益するところとなる。言うなればこれは、win-win schemeではないか。
確かに、いくらそれがwin-winだからと言って、現行法のもと勝手なことをやりまくるのは、色んな意味でまずいことではあろう。法の運用者は、こちらの〈行為における動機の純粋さ〉など斟酌はしないのだから。だが、われわれはこのまま、「従順な遵法者」に甘んじていてよいものだろうか。
もちろん、そうは言っても、われわれに何ができるか、ということを考えると、甚だ覚束ない。しかし、一つひとつ、もつれた糸をほぐすように、権利の権原へとたちもどり、そこで何が保証されている(いた)のかを振り返り、その上で、現在の諸状況を勘案し、〈妥当〉であると言えるような方向に持っていく努力を地道にするしかないだろう。
現在の著作権をめぐる状況は、ひどい。とくに、情報技術がらみのことを考えると「真っ暗」だとも言える。しかし、レッシグも言っているように、物理法則は(今のところ)変えられないが、法はいくらでも変えられるのだ。法というものを不変不滅のものと考え、それのアプリオリな〈妥当性〉を「仮定」してわれわれは行動しがちだが、その〈妥当性〉をいったん「括弧に括り」、考えなおすべきだろう。
今日、生産の中心を占めている知識というものにたいして、全ての人がアクセス可能になるようにするべきではないでしょうか?
Q:それは作者の思想の終焉ということでしょうか?
ネグリ:いや、所有の思想の終焉なのです。・・・生産は、知識の循環に依拠しながら、同時にそこへの自由なアクセスを制限するなどということはできないのです。・・・生産は「生」そのものなのです。・・・いまや言葉は生命体の基盤になっています。・・・
『生政治(ビオポリティーク)的自伝―帰還』 A.ネグリ著
p82〜
つうか、一般に、「人文系」の人たちは、「出し惜しみ」しすぎる。いわゆる「理系」の人たちの大盤振る舞いぶりをちったあ見習って欲しいものだ。
俺がなにか書いたら必ずネットで公開する!
(中学生の時の交換日記とかはしないけどな。)
「言葉は数学的思考にはほとんど役立っていない。・・・心は数学的アイディアを知覚するたびに数学的概念のプラトン的世界と接触するのだ。」
R.ペンローズみたいに「理系」のヒトたちってみんなこう考えてるのかな?
だから「自分の著作」に所有権を持つって考えがあまりないのかな?
プラトンはやしさんはどう?
で、ペンローズの発言、乱暴に一般化はもちろん出来ないけど、数学者の素朴な感慨をよく表わしている、と思うな。たとえば、同値関係はあくまで「関係」として「ある」しかないけど、そうした関係を、このテーブルやコップと同じくらいの「実在感」を以って、感じることが出来る……。
いわゆる「理系」の「所有感覚」について言えば、かりそめに「文系」と呼ばれる人たちのそれよりも、共同的/協同的、かもね。つうか、自分のアイディアなんて、共有されてなんぼ、というか、共有されないとあかん!と思ってるだろうから。今おれが訳してる、ストールマンのインタヴュなんか読むと、そういう感覚が基底にあるのが分かると思う。
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