忍者ブログ
[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

http://atls.web.infoseek.co.jp/hayashi/image/MAI68(44).jpg http://atls.web.infoseek.co.jp/hayashi/image/MAI68(32).gif



1968年、HAL9000が暴走し、レッド・ツェッペリンはコミュニケーションをブレイクダウンさせ、ワトソンは「生命」の秘密に迫りつつあり、土方巽は「肉体の叛乱」を起こしていた。

その年の5月、フランスでは学生の反乱が労働者に飛び火、労働人口の3分の2がストライキに突入し、国家を崩壊寸前まで追い詰めた。だが、本来「革命」の旗振りをするべきであったはずのPCF(フランス共産党)が、自分のお株を奪われたことを妬ましく思ったのか、国家と手を組み、この動きを阻止する側に回った。そうしたPCFの立ち回りが功を奏し、この「5月暴動」は沈静化に向かい、続く6月の選挙において、時の権力者シャルル・ド=ゴールはさらにその勢力を強めたのだった(警察権力の導入により安田講堂が陥落させられたのも、ちょうど6月である)。

「5月革命événement de mai 」(日本においては「5月革命」と呼ばれることが多いけど、字義通りに訳せば「5月事変」ぐらいの感じかな)と呼ばれる出来事événement を駆け足に紹介すると、大略上述のようになるだろうか。しかし、これだけではなぜそれが、ある意味「神話的」に語り継がれているのか、よく分からなくはある。とくに、この「5月革命」が思想・哲学に齎したインパクトと言えば絶大、と言われたりするのだから、これはちょっと無視できない。

そう思って、改めて色んな本を引っくり返してみたり、ネットを見回ってみたりしたんだけど……やっぱりよく分からないな。

確かに、思想や哲学といったものから離れて、この「5月革命」という事象を見ると、預言者の神託を実現させるように、「先進国」でこのような国家を引っくり返さんばかりの「大暴動」が起きたことや、しかもそれが「党主導」でも何でもなく、むしろ党の与り知らぬところで自然発生的に爆発したことは、「何か、今までとは違うことが起きている/起きるだろう」と思わさしむるに足ることだったのかもしれない。だが、それは、「マルクス主義」というものの凋落を印付けるだけのことであり、(少なくとも今から考えれば)それだけのことであれば大したことでもない。

何の考えもなしに思うところを言ってしまえば、「信じていたもの」(マルクス主義/共産党)が二重の意味で裏切られたこと、これのインパクトが、思想的哲学的にはでかかったのではないか? マルクス主義的なスキームへの行き詰まり観や、そしてそれを奉ずる共産党というものへの不信感が、この「5月革命」の顛末をきっかけに一気に噴出し、その結果、多かれ少なかれマルクス主義や共産党というものに関わっていた思想的哲学的な地殻を変動させた、と考えられはしないだろうか?

とりあえず、「『ニューアカ』とは何だったのか(後編)」のための作業仮説として、如上のように考え、ちょっと参考資料を読んでみようとは思うけど……何にせよ、サイコーなのは、「5月革命」の「きっかけ」とされるナンテール大学の占拠・蜂起で掲げられた要求事項の一つが男子学生の女子寮への立ち入り権だった、ってことだな。というか、このことが、この「5月革命」に続く諸々を、すっごく象徴してるんじゃないか、なんて思ったりもするけど。



http://atls.web.infoseek.co.jp/hayashi/image/MAI68(13).jpg

PR
この記事にコメントする
お名前
メールアドレス
URL
コメント
『〈帝国〉をめぐる五つの講義』 アントニオ・ネグリ著の第一講義「歴史的方法について。因果性と時代区分」を読んで見ようじゃないか。68年5月が何を区分する日付けなのかについて考えるのなら。
M 2005/12/05(Mon)22:43:00 編集
宮本さん、その講義の原題、何てなってる? 今、『〈帝国〉をめぐる五つの講義』 を探したにもかかわらず見つからないんで(確かに持ってるはずなんだが……)、ネット上でテクストを探してみようと思う。
はやし 2005/12/05(Mon)23:15:00 編集
えっとね、
Antonio negri,Guide
Raffaello Cortina Editore,Milano 2003

イタリア語からの翻訳だな、2004'4の時点ではスペイン語訳しかでてないらしい。
コゼンツァ大学社会学研究所で行われた講義がベースらしい。
M 2005/12/05(Mon)23:47:00 編集
あ、ありがと。で、さらに細かく、第一講義自体(「「歴史的方法について。因果性と時代区分」)の原題も分かるかな? そうすると、さらに探しやすくなるんで。頼んます!
はやし 2005/12/05(Mon)23:51:00 編集
>買いはしたの?
って失礼な! 万引きするわけにいかないじゃん!
これから買うってば・・・。

(しかし、当分はムリだもんな・・・)
M 2005/12/06(Tue)01:03:00 編集
あ、いやいや、そういう意味ではなく、買うにせよ万引きしたにせよ(盗めるんなら盗んじゃえば?って言いたいところだけど、40過ぎて万引きで捕まるのもかっこ悪いしねえ)、「所有はしているのか」ってことを聞きたかったんだ。ほら、「言い訳」もしていたし。
<a href="http

ま、何にせよ、あせらずゆっくりと、だね。
はやし 2005/12/06(Tue)01:13:00 編集
それ、探してるんだけど分からんな…。
「因果性」は(カウザリタ)ってルビが振ってあるよ。

こんなんじゃあかんな、うん。
M 2005/12/06(Tue)12:05:00 編集
いやいや、causalitaまで分かれば、そこから何とか掘り崩せるだろうし、やってみるよ。でも、さっき、&quot;Cinque lezioni su Impero e dintorni&quot;で検索かけて、ヒットしたページを*全て*見てみたんだけど、目次詳細を載っけてくれてるページがひとっつもないでやんの。だめじゃーん、と思った。
はやし 2005/12/06(Tue)12:10:00 編集
突き止めた。ネグリの第一講義の原題は、
Del metodo storico (causalit&amp;#224; storica e periodizzazione)
で間違いなし。大本の講義をアナウンスするページまで行っちまったわい。
<a href="http

でも、果たして、このテクストがネット上にあるかどうか、問題はこれからだな……。
はやし 2005/12/06(Tue)12:26:00 編集
ん〜ねえや!

で、先の投稿で「&amp;#224;」と面妖なことになっちゃってるのは、「a」の上に「`」が付いた文字でございます。
はやし 2005/12/06(Tue)12:37:00 編集
俺が要約作って「帝国」ノートにつなげて、そいで「マルチチュード」も合体させて・・・、いつかはやるから・・・。

待ってらんないだろな、
邦訳、悪くないと思うけどな、本があり過ぎて探せないってのも困ったもんじゃない?
M 2005/12/06(Tue)12:52:00 編集
『〈帝国〉講義』はともかく、『マルチチュード』は(って、宮本さん、買いはしたの?)絶対にレジュメ作って、んでもって、『〈帝国〉』のやつと相互参照させないとね!(あーそう言えば、オンライン読書会を復活させねば。ATLSに引越しさせたいんだけど、infoseekのサーバだとwikiが動かないんだよねえ……。ま、ドメイン維持量をとっとと払えばいいだけなんだけど)。

で、うん、もう最近、本探してばっか。さっきも別件でややしばらく本探しに時間取られたし……でも、大体は把握してるんだけどね。とはいえ。
はやし 2005/12/06(Tue)12:58:00 編集
かなり相当どうでもいいことですが、コミュニケーションブレイクダウンを歌わせると、俺上手いよ! ジミーページじゃなかった、ロバートプラントよりもね。 これホント。
「ああああーーーーーあ」って唸って、「移民の歌」も十分声が出るのだけど、あの歌、歌詞が速すぎて英語に舌がまだついていかないなあ。
原作たそがれ清兵衛 2005/12/08(Thu)01:36:00 編集
よし、じゃあ、おれがギターを弾くんで、今度セッションしましょう。とりあえず、ツェッペリンのカヴァー? お望みとあれば、オリジナル曲も書いちゃいますよ!
はやし 2005/12/08(Thu)04:36:00 編集
ええ、是非路上ででも。何分でブーイングで辞めさせられるか楽しみですね。警察に捕まるまで案外もったりしてね。警察きたら、おれ、はやしさん 置いて勝手ににげますからね。笑
原作たそがれ清兵衛 2005/12/08(Thu)06:01:00 編集
「逃走」なんかしたらだめですよ。 国家権力にはヘルメットかぶってゲバ棒もって立ちむかわなきゃ って 諭されるかと思ってました。笑
原作たそがれ清兵衛 2005/12/10(Sat)07:35:00 編集
さっき書いていてふと思ったのですが、
プリたそがれ・・・・警察みたら、徹底抗戦
たそがれ・・・・・・警察みたら、逃走
ポストたそがれ・・・警察みたら、現実的落し所を考える
って、警察観が、かなり違うかも。って、いいつつ、これって、弁証法そのものじゃ!
原作たそがれ清兵衛 2005/12/10(Sat)10:51:00 編集
だからおれは「ポスト」なんですよ。

ところで、おれ、「国家権力にはヘルメットかぶってゲバ棒もって立ちむかわなきゃ」なんて言い出しそうなキャラに見えます? いや、単純にネタとして言ってるのかもしれないけど、もしそのように思える言動をしているのなら、気をつけねば、と思ったので。

というか、権力に真っ向から立ち向かう、なんてのは、お話としては美しいのかもしれないけど、普通に考えたら単なる「バカ」じゃないですか。
はやし 2005/12/10(Sat)11:00:00 編集
えー路上はイヤだなあ……って、マジに答えるな、って? ともあれ、警察来ても多分そんなに大仰なことにはならないですよ。まあ、楯突いたりしたら公務執行妨害付いちゃうけど、大人しく「すんませーん」とか言って、河岸変えて続行すりゃ、何てことはない。
はやし 2005/12/10(Sat)12:06:00 編集
いや、そんなキャラには、微塵たりとも見えない所以の ネタですよ。
原作たそがれ清兵衛 2005/12/10(Sat)13:17:00 編集
「火炎瓶」投げていたはずの、あの「プリたそがれ」世代が、今、カイシャの宴会で、「ビール瓶」を舐るがごとく飲んでいる姿を見ると、ホント哀れすら感じますね。あの時代の「プリたそがれ」世代のシュプレヒコールが、後のカイシャカラオケ発祥の源泉か?
原作たそがれ清兵衛 2005/12/10(Sat)13:31:00 編集
あ、「国家権力にはヘルメットかぶってゲバ棒もって立ちむかわなきゃ」と言い出しそうなキャラにはあんま見えないですか。それは一安心。

でも、そう見えちゃってもおかしくはないかも、という感じも少しだけ抱いており、というか、そうまで吹っ切れれば心よからんとも思うのですが、でもねえ、っちう感じです。敢えて言えば、自らは実働せずに、そういう暴動を指揮したい、という、まあ、最悪なやつですね。
はやし 2005/12/11(Sun)04:51:00 編集
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
カレンダー
03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
最新コメント
最新トラックバック
メール
ブログ作成者(はやし)に直接訴えたいことがある、という場合は、下のアドレスにメールをどうぞ。

thayashi#ucalgary.ca
(#を@に置換してください)

ブログ内検索
Google
WWW を検索 このブログ内を検索

はやしのブログ内で紹介された
 書籍の検索はこちら
 音盤の検索はこちら
ランダムおすすめ
(忍者ブログに引越してから、うまくうごかなくなってしまいました。いつか、直します)
Randombook
このブログで紹介したことのある本をランダム表示。
Randomusic
このブログで紹介したことのある音をランダム表示。
自分がらみのリンク
はやしのブログ書籍一覧
このブログで言及された書籍の一覧。
はやしのブログ音盤一覧
このブログで言及された音盤の一覧。
最近のおすすめ本
最近のおすすめ音

Copyright © [ はやしのブログ ]
No right reserved except those which belong to someone else.
Special Template : 忍者ブログ de テンプレート and ブログアクセスアップ
Special Thanks : 忍者ブログ
Commercial message : [PR]