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「スカム」ってのはご存知のように、「ゴミ」っつーか「汚泥」みたいな意味なんだけど(詳しくはここを見てね!)、それを音楽のある種の「くくり」として認知したのは、先のエントリで「見つかんない!」って言ってた「フールズ・メイト」の記事を読んでってのが最初かな。

その記事ではマイケル・ボードっていうおっさんを水先案内人として(この人、リミクスでも「ニューヨークアンダーグラウンド秘史」みたいなのを連載してたな、そういや)、ルナチクス、ホワイト・ゾンビーズ、ミッシング・ファウンデーション、コップ・シュート・コップ、プロング、なんかのバンドを紹介していたんだけど(G.G.アリンはどうだったかな? 何か、載ってなかったような気がする)、このバンド紹介のラインナップを見ても分かるとおり、そんなに「ごみ」「クズ」って感じではないよね。音自体はヘヴィーロックだったり、ちょっと間違えたメタルみたいな感じだったりで(音的な系譜で言うと、この流れが、やっぱり日本語で「汚泥」という意味を持つ「スラッジ」に流れ込んでいると思う。MelvinsやらKyussやら、まあ「ストナー」とか呼ばれてもいるような、その手ね。あ、でも、そういうスラッジな人たちも、ここで言及しているスカムの人たちと同時代か……。まあ、言葉の流通順としては「スカム」->「スラッジ」っつーことで)。

ただ、「音自体のゴミ加減」っていうよりも、それらバンドに通低しているのは、ある種「露悪」なところがある、って印象を持つかな。存在自体がスカムな連中がやってる音楽、って感じ。ゲロのオブジェがジャケに貼り付けてあるレコード、なんてのもあったっけ。レコード棚に入れるとき、すっげー邪魔なんだよね、そのゲロオブジェが。

で、まあ、そんな訳で、そのフールズ・メイトの記事に載ってたバンドたちの音自体は比較的マトモなんだけど、それが機縁になって、音自体がぶっ壊れたscum of scumsなもんを狩猟し始めちゃったんだよね。

そのころはけっこう西新宿の輸入レコード屋に足繁く通ってる時分で、まだUKエジソンも健在だった(つぶれたんだよね? 確か)。で、そういうところでスカムっちいレコードやらテープやらを集めては、一人悦に入っていたという、今思うと「若さやねえ」って感じだけど、そういうのって今改めて聴くと、それはそれでおもろかったりするんだよね。

例えば、Kingdom Scumっつー、何て言うのかな、ドシャメシャサンプリングアンドカットアップアンドシット!なバンド(なんかな?)とか、Eerie Materialsっていうテープレーベルから出てたやつとか、「早すぎたStock, Hausen And Walkman(毒気200%増量)」って感じでオモロイんだよね。他には、まあスカムっていうんじゃないかも知れんけど、Happy FlowersやらShimmy Discものとか、ぶっ壊れた音には事欠かなかった時代だったな。

でも、よく考えてみると、昔っから「ぶっ壊れた音」ってことで言えばShaggsなんかがいたわけだし、ケージ的なチャンス・オペレーションの延長でわざわざ弾けない楽器を弾いてedit!って連中もいたわけで(ディス・ヒートなんかはそういう風味あり、じゃないかな。まあチャールズ・ヘイワードはすでにして敏腕ドラマーだったけど)、「ぶっ壊れた音」ってのは別段そのときに注目され始めたわけではないだろうけど(つか、昔も今も、「ぶっ壊れた音」に注目しているやつなんて、あんまいないか)、なんつーのかな、そういうShaggsやらなにやらの「ぶっ壊れ方」とかその提示の仕方ってのは、下手をすればエスタブリッシュメントな音楽に回収される危険を帯びてたと思うんだよな。

例えば前述のKingdom ScumやらEerie Materialsのテープなんか、方法論的にはミュージック・コンクレートと通ずるものがあったりするんだけど、どう考えてもKingdom ScumやらEerie Materialsなんかがエスタブリッシュメントに回収される気遣いはないように思われ、それは何でかって考えると、「やっぱりやってる人間のスカムさ加減かなあ」って振り出しに戻っちゃうんだけど……何か違うんだよな、やっぱり(SH&Wは回収される危険大有り、だと思う)。

それはなぜか?ってことを、もうちとつめて考えよっかなあ、って当初は思ってたんだけど、何か、どーでもよくなってきたな。それより、そういうしょーもない音の群れにただ身を浸していたほうが、断然いい。スカムにはスカム的な応答を。

で、最近そういう「ぶっ壊れた音」を出している人って、どんな人がいるんでしょうか? ある程度最近だとブラック・メタルとか、あとグラインド・ゴアの一部にそういう(音的にも人間的にも)「ぶっ壊れ」たやつがあったりするけど(例えば、MütiilationとかAxCxとかね)、それもけっこう前っちゃ前だしなあ。

そういうわけで、「ぶっ壊れた音」の最新情報を握っている人、情報提供お願いします。




(追記)
キング・オヴ・(エセ)スカムたる山本精一氏のスカム考を発見。なるほど。ボアも昔はけっこースカミックだったものね。




参考音盤

スカムもの
V.A., The End Of Music
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0000059XQ/hayashinoblog-22/ref=nosim
マイケル・ボードがコンパイルしたスカム・ミュージックコンピ。でも、あんまぶっ壊れてはいないかなあ。とはいえ、スカム周辺では定番です(ほんとかよ)。

Lunachicks, Babysitters on Acid
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B000058DVL/hayashinoblog-22/ref=nosim
Riot Grrrlにつながる「べらんめえ」ガールズへヴィロック。でも、なぁんかヘンな風味もあり。

Prong, Force Fed
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B000005ZG1/hayashinoblog-22/ref=nosim
うーん、おれは全然スカムじゃないと思うけど……かっこええはかっこええです。すげー硬質。

G.G. Allin, Freaks, Faggots, Drunks & Junkies
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B000005X1N/hayashinoblog-22/ref=nosim
まあ、エセではない「キング・オヴ・スカム」ですかねえ……あ、でも、イアン・コステスっちゅーのもいたか。

Happy Flowers, Lasterday I Was Been Bad
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B000000INR/hayashinoblog-22/ref=nosim
ほんとはこのアルバムじゃなくってOof!ってのが好きなんだけど、品切れみたいなんで代わりにこれを。まあ、どっちにしたってそんなに変わんないし。

あとコップ・シュート・コップやらミッシング・ファウンデーションやらも紹介したいんだけど、アマゾンではないみたい(CSCはあるにはあったけど、おれの好きなやつはないなあ。ほら、あの"Shine on Elezabeth"がはいってる、あれ。CSCはライヴテープもよかったなあ。MFならもち、あの黒いジャケのやつね)。

ストナー/スラッヂ
Melvins, Ozma
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B000001BD7/hayashinoblog-22/ref=nosim
メルヴィンズはレコードたくさん出てるけど、おれはこの2ndが一番好き。1曲目激遅な"Vile"にヤられる。

Electric Wizard, Dopethrone
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B000055ZDT/hayashinoblog-22/ref=nosim
サバスがラリラリのヘロヘロになった音、とでも言おうか。ヴォーカルに微妙にかけられたエフェクトがイイです。

Kyuss, Welcome to Sky Valley
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B000002HEP/hayashinoblog-22/ref=nosim
Kyussもアルバムを紹介しようとするとどれにしようかと迷うけど、やっぱり「ストナー・ロックの始まり」とカテドラルのリー・ドリアンに言わせしめたこれかな。

ブラック・メタル/ゴア・グラインド
Burzum , Aske
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00000DFKF/hayashinoblog-22/ref=nosim
ブラック・メタルでもほんとはMütiilationがよくって、さらにBurzumにしたってこれじゃなくFilosofemがいいんだけど、アマゾンにはなかったり、品切れだったりするんで、しゃーない。

AxCx, Morbid Florist
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00000607H/hayashinoblog-22/ref=nosim
Everyone Should Be Killedのほうがインパクトあるかな? ま、おれが一番最初に買ったAxCxっつーことで。

元祖ぶっ壊れ
The Shaggs, The Shaggs
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0000003MZ/hayashinoblog-22/ref=nosim
別に聞くこともないと思われ……って品切れか。それはそれで「いかんなあ」とも思うけど。

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コメント
TB ありがとうございます。個人的に“ぶっ壊れた音”と言うと“カオティック”系など(最新ではないかも)。AxCxの元メンバーが絡んでいる【PIG DESTROYER】や、ライヴではかなり壮絶なパフォーマンスの【CONVERGE】など“ぶっ壊れ”てると思います。人間的に“ぶっ壊れてる人”って昔に比べて少なくなってる気が。最近はそんなに無茶しないような。お役に立てなくてどうも、では。
623 2005/01/16(Sun)08:49:00 編集
623さん、はじめまして。TB、ぶっ壊れ音楽の情報欲しさに送らせていただきました。しかも、TB重複しちゃってますね。申し訳ない。お見苦しければ1つ削除くださいませ。

Pig Destroyerはチェックしていたのですが、Convergeはジャケの感じから、敬遠、というわけではないけど何となく聴いていない人たちでした。今度聴いてみます。

で、まあ「ぶっ壊れた人間」ってのは、外野的には見ていて面白いけど、社会的にはいないほうが平穏だろうから、寿ぐべきことなんだろうけど、ちょっと物足りない感じもしますよね。

それでは、情報ありがとうございました。ちょくちょく623さんのブログ、チェックさせていただきます。
はやし 2005/01/16(Sun)15:41:00 編集
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