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どういう領域であれ、入門書と専門書をつなぐ「あいだ」の本というのは、なかなかない。それがとくに、数理的フォーマリズムにその理論構成を大きく負っているようなものだと、「入門」と「専門」の径庭というのは隔たるばかりだ。
もちろん、これはあくまで「一般的印象」の話であって、たとえ「専門書」にカテゴライズされるような、紙面に数式が躍るようなものであっても、丁寧に読めばじゅうぶん「入門書」として読めるようなものもけっこうある。だが、というか、やはり、というか、多くの人はその本質的な難易を本の内容で見定めるのではなく、そこで使われている数式の多寡で「決め付け」ている。だから、そういう人たちの「リハビリ」のためにも、数式をまったく排して「おはなし」に終始しするようなものではなく、数式を使うことを厭わず、しかも、その数式の「言わんとするところ」を自然言語で再説するような本というのが必要だ。
これは、「通俗的な流通」が盛んな領域ほど、その必要性が大きいように思われる。というのも、そうした「通俗的流通」が盛んな領域ほど、「おはなし」が説明しきれない残余の部分は、荒唐無稽な「ファンタジー」で補填されてしまう傾向があるからだ。
たとえば、量子力学というのは、そうした「荒唐無稽なファンタジー」が跋扈する、不幸な領域であるがゆえに、如上のような「中級書」が切に求められる。そのような、量子力学の「中級書」として薦められるのが、『量子力学の基本原理』だ。
この本では、最初に量子力学で使われる基本的な数学的道具とフレームワークが導入され、後に続く章ではそれに則りながらも主に自然言語を活用して、量子力学の「基本原理」が展開される。導入される道具立てはきわめて小ぶりなものだし、そもそも誰しも一度は高校時代に既習済みのことであるはずだから、それほどの困難は感じないはずだ。しかも、そこで展開される内容も、主に「観測問題」に焦点を当てたものなので、philosophically inclinedな人にも好適だろう。
ただ、正直この本も「中級」というよりは、「入門半歩先」といった感じではあるので、この次に「専門書」を読もうとしても、実際はかなりの苦戦を強いられるであろう。だが、徒手空拳で専門書に突っかかっていくよりは、その後の道程に弾みが出ようというものだ。とはいえ、そこに辿り着きたければ、地道に階梯を登っていくしかないのだけれど。
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