読書日記 [本]

書くことも特にないんで、昨日から今日にかけて読んでた本と、それに対する由無し事を、いくつか。

Schizophrenia Revealed
脳機能から見た分裂病、とでもいった感じの本。1960年代の反精神医学運動に触れて、この運動は事態を悪くするだけのものであった、という記述に大きくうなずく。反精神医学的な立場に拠れば、精神病とはもっぱら社会的な産物であって、脳機能も含む身体的＝物的な基盤の不調ではない、とし、その治療に当たっては従来の医療アプローチを否定し、精神病者を社会にほっぽり出す、というものだった。こうしたアプローチによって、もちろん病が治ることはなく、逆に、精神病者への偏見が助長されただけだった。

西田幾多郎全集第十二巻
よく言われることだが、西田幾多郎の随筆や書簡や日記の文章は、その学術的なものに見られる「悪文」と言ってもいいぐらいの面妖さからすると、驚くほど平明で、分かりやすい。この全集第十二巻に収められている『続思索と体験』や『「思索と体験」以降』も、学術的な書き物もあるにはあるが、「論文」といった体ではなく、雑誌への寄稿、といった感じのものなので、普通に読める。ただ、おなじ巻に入っている『日本文化の問題』は、お馴染みの「矛盾的自己同一」が出てきて、うーむ、って感じなんだが。時間ができたら、ちゃんと読んでみよう。