趣味の禁煙 [日々]

昨日から煙草を吸っていない。理由はたんじゅんで、煙草の買い置きがなくなったのだけど買いに行くのがめんどくさく、そのまま煙草を吸わずに過ごしていたら、手足にふわっとするような感覚がおとずれ、それがしだいに倦怠感とも酩酊感ともつかない様相で全身にひろがり、その倦怠感とも酩酊感ともつかない何かがいつのまにやらしびれるような眠さとして頭皮と眼孔まわりから頭の芯にむかって突き進んで、ついには一点に凝縮したそれがさあっと盤面を白く塗りつぶしたところでふりだしに戻るといった、つまりはニコチンが身体から抜け出すことにともなう禁断症状がことのほかおもしろく、これをこのまま放置したらどういう沙汰になるのか、ひどく興味をそそられたからだ。それに、なるほどたしかに「煙草を吸いたいな」と思いはすれど、そう思ったいきおいで24時間営業している近くのガス・ステーションに駆けこみなじみの銘柄を一箱あがなって一服つけたところで、それは「いま煙草を吸ったらさぞかしうまいだろうな」という仮想の一服のうまさに勝てるわけもなく、ならばいっそ、そうした虚をこちらにむけてしずしずとたぐりよせ、「なあんだ、こんなものか」という落胆しかもたらさない実へそれが転化するかしないかの被膜に遊んだほうが粋というものだろう。

そんなわけで、この遊びに飽きるまでは、もうすこし煙草を吸うのを控えてみようと思っている。