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2009年度音盤ベスト、先のロック/ポップス編につづき、ノイズ編をば。
これは、ノイズに限らないことかもしれないけど、ベストを選びはじめるとどうしても有名どころにセレクションが偏ってしまい、これは、「有名どころ」だけあってやはりクオリティが高いゆえに選んでしまうのか、それとも、「有名どころ」というバイアスが選ぶまえからかけられてしまう結果なのか、なかなか判断しがたいけど、ともあれ、ほんとうはもっとたくさんノイズ音源を聴いていたはずで、そのなかには、有名ではないけど「珠玉」と言ってもいいくらいのものがあったはずなのに、そういうものを掬いだせず、ざんねん。来年は、もっと地道にノイズと向かい合おう、と思う。
Lon Guy Incapacitants (Harbinger Sound, 2009) |
まず一発目は、やはりノイズ大将のこの人たちから。やはり同年に出た Tight は、「ノイズ」というより音響工作的な風合いがつよく、それはそれでひじょうによい作品なのだけど、ここではより記号的な意味合いでの「ノイズ度」が前面に出ているこの作を。
Split Earth Crown/Kites (Arbor/Night People, 2009) |
おれにとってはこれが初聴となる Earth Crown と、Load Records からの Prurient との合作がひじょうに印象的だった Kites のスプリット。Earth Crown はどっしり腰にくるような、Kites はキンキンと脳天に響くような、そんなすてきな雑音。
Kill Baby Kill! Kylie Minoise/Grimalkin555 (Kovorox Sound, 2009) |
すっとこどっこいな名前でおなじみの Kylie Minoise と、誰だかぜんぜん知らない(おれは、たんじゅんに Kylie Minoise の変名なんじゃないかとうたがってるけど)Grimalkin555 という人のスプリット。この手の音が好きなら、両手を挙げて「かっこいい!」となることまちがいなしなハードなノイズを聴かせてくれる。
Cincinatti John Wiese/C. Spencer Yeh (Drone Disco, 2009) |
おれのなかで Prurient の Dominick Fernow とならんで、明日のノイズ界を背負っていくであろうと思っている John Wiese と、Burning Star Core での活動でつとに有名な C. Spencer Yeh による合作。直球で「ノイズ」と言うより、「音響系」と言ったほうが通りがいいような瞬間を多分に含むけど、じっくり聴くとやはり音響系とはぜったいにちがう、「ノイズ」としか言いようのない音。
Crows Eat the Eyes from the Leviathans Carcass Blue Sabbath Black Cheer (Release The Bats Records, 2009) |
バンド名が「ずるい」としか言いようのない Blue Sabbath Black Cheer による、全体にひたひたと迫ってくるような音像が印象的な作。5曲目では The New Blockaders のダブル・ルピナスが参加。ハーシュ度、というか、激情的な音ということで言えば、やはり今年出た D.D.T.T.N.B. も必聴なのだけど、ここではカラフルさを採った。
Always Wrong Wolf Eyes (Hospital Productions, 2009) |
リリース数が多すぎてとてもではないけどフォローし切れない Wolf Eyes による、何作目になるか当人たちですら分からないであろう、フルレンス。バンド的ダイナミズムが随所に溢れており、しかも、曲調もなかなかにカラフルなので、1枚飽きずに聴き通せる。
Petturien Rooli Grunt (Freak Animal Records, 2009) |
ひじょうにストロングスタイルで、かつ古典的なノイズを聴かせてくれる Grunt による作。「古典的」なだけあって、ホワイトハウスタイプのヴォイスをからめた曲が印象的なのだけど、それにとどまらず、あんがい細やかな音像的配慮もある。
Central Park Jogger FFH/Prurient (Hospital Productions, 2009) |
単独作はそれほどおもしろくなかった Prurient と、おれはぜんぜんノーマークだった FFH という人の合作。「ノイズ」というより「ダークアンビエント」に聴こえる瞬間があるけど、この「音の肌ざわり」はまぎれもなくノイズ。
Mort Aux Vaches Yellow Swans (Mort Aux Vaches, 2009) |
惜しまれながら解散した……はずなのに、以後も何食わぬ顔でリリースがつづけられている Yellow Swans による Mort Aux Vaches からの作。彼らの他のリリースに比べてメランコリックな感じがある。
Malediction Skullflower (Second Layer Records, 2009) |
Ramleh や Pure などの「直球ノイズ」グループのメンバーからなる、粘度の高い轟音サイケバンド Skullflower の作。こういうのを聴くと、ノイズはロックであり、そして、ロックはノイズなんだなあ、という思いがつよくなる。とりあえず、1曲目に打ちのめされてほしい。
これも、ロック/ポップス編と同様、8tracks に「試聴盤」を作っておきました。誰にでもおすすめ、というわけにはいきませんが、興味のある方は、ぜひ。
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