何も考えずに書く [かなりダメな話]

ほんとうは、さいきん図書館で借りた本をメモしようとおもったのだけど、何かそれもおっくうで、そのうえ、他に書くこともないので、何も考えずに、見切り発車してみる。

ただ、何回目の繰返しかと思うと、われながらうんざりしてくるけど、何も書くことは、ない。そういう、「書くことがない、ということについて、書く」というのは、文学史上で由緒正しき伝統を形成しており、そうした伝統のしりうまに乗っかるのも手ではあるのだけど、個人的に、そしてある程度衆目の一致するであろうところでは、そうした「書くことがない」ということについては、ほとんどあらゆる言葉が費やされてしまったようにも思える。もちろん、だれしも容易に思いつくように、「『書くことがない、ということについて、書くことがない』ということについて、書く」という手もあるではあろう。ただ、たんじゅんに考えて、「書くことがない、ということについて」という部分の繰返しは、畢竟「書くことがない、ということについて」に還元可能であり、要は、いくら「書くことがない、ということについて」を重ねても、さいしょの「書くことがない、ということについて、書く」とちがいはない。だから、いくら「書くことがない」ことについて贅言をついやしても、それは繰り言にほかならない。もっとも、それによって生計を立てているわけでも、ましてや何らかの評価をそれで受けようと思っている身でもなければ、そうした繰り言も許容されはしよう。しかし、そうした繰り言は、読まされるほうもつらいだろうけど、書いているほうが何よりつらい。そういう場合、いちばんよいのは、書くのを（そして、読むのも）止めることだ。