2008年度哲学論文ベスト10 (2) [論文]

内容の紹介を追記しました。

如何にして応用数学は純粋数学となりしか（ペネロプ・マディ）[PDF]

ガリレオの「世界は、数学という言語で書かれている」という言葉に顕著な「あらゆるものが則るべき法則を与えるものとしての数学」という見方から、「世界のあり方とは無関係に、そのものとして自立した数学」という見方への移行を語るとともに、そうした数学観の変転がぎゃくに、現代においては「世界を記述する道具箱」として役立っていると論じられる。

経験、語り、そして倫理的熟慮（シェリリ・ミサク）[PDF]

経験にもとづいた言説というのは、ことアカデミアにおいては「客観性を欠いたもの」として排除されがちである。しかし、倫理学という学問は、その性質上本質的に（と著者は言う）経験にもとづいている。そうした倫理学観を受入れたうえで著者は、「経験にもとづいているからといって、一足飛びに『客観的ではない』とは言えない」と論じ、「客観学としての倫理学」を打立てようとする。