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先ごろから、批判、というより、「何か、おっかしなこと言ってる人がいるなあ」と観察させてもらっている茂木さんですが、茂木さんと言えばクオリア、クオリアと言えば(こと日本においては)茂木さんといった感じで、そういうイメージゆえ、クオリアという概念自体に何とも言えぬうさんくささを覚えてしまい、これまでクオリアについて積極的に知ろうともしてきませんでした。でも、冷静になって振り返ってみれば、クオリアという概念はネーゲル、チャーマーズ、そしてデネットといった、それほど(少なくとも茂木さんよりは)うさんくさくない人たちによっても論じられてきたわけで、ただ「何だかおかしなことを言ってる人がさかんに論じてるから」というだけで棄て去ってしまうのは早計の謗りを免れえ(ないかもしれ)ません。というわけで、とりあえずネーゲル論文チャーマーズ論文(PDF)を読んでみました。

で、結論から先に言うと、おれにはあんま響いてこなかったというか、興味が持てませんでした。そりゃ、あるクオリアがそれとしてある、つまり、赤という色をどうしてわれわれは赤として感じるのかを物理主義に陥らずに(もっとていねいに言えば、そうした物理主義的説明からこぼれ落ちる側面もカヴァーしつつ)説明するのはきわめてむずかしいでしょうし、それを解き明かすことは(そうした解明がそもそも可能だとして)人によってはチャレンジングでおもしろい試みでもありましょう。ただ、やはり、おれにとってはどうしたって「全人類にとって重要」という問題にはさらさら思えなかったし、そして、より致命的なことには、そうした解明が全人にとって了解可能なかたちで行われうるようにも思えませんでした。

つうか、そもそもおれ、いわゆる「心の哲学」って、あんまり興味ないんだった。

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コメント
哲学のキャッチーな面に一番近い分野だとは思うんですが、意外とそれほど面白くないってのは素人ながら僕も感じるときはあります。キャッチーっていうのは、その辺の普通の人が人生論とは別の意味で、「てつがく」って言葉でいかにもイメージしてそうな議論とでもいうか。言われてみれば確かにそれは不思議だよね、ってのは直感的にわかるんですけど(人間を集めて脳のシステムを再現しても意識は発生しないのではないかとか、それこそ赤い色を見たときに感じる赤みの出自はなんぞやとか)問題提起それ事態は面白いけれども、そこから先に進む予感のない問題というか…うまく言えないですけれど
長谷部 2009/05/13(Wed)17:05:37 編集
「哲学」というものが一般的にどういうイメージを持たれているものなのか、いまだによく分からないので(こちらアメリカで自己紹介のときなど「哲学科に所属している」と言うと、"Oh, philosophy..."とふくざつな笑みを浮かべられたりするのは何なんだろう?)、クオリアというものがはたしてそういう「一般的な哲学のイメージ」に合致しているがゆえにポピュラリティを得ているかどうかよく分からないけど(仮説的に言えば、メディア露出の多い人がよく口にするがゆえにポピュラーなのだ、というほうが実態に即しているような気がする)、クオリアという概念の持つふしぎさと、そのふしぎさを解く方途と、そしてそのふしぎが解かれることにより帰結するものがバランスしていないという感慨は、おれも持っている。
はやし 2009/05/14(Thu)17:46:50 編集
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