さいきん「気になる本」というようなエントリを書かない（書けない）わけ [雑]

以前は何だかんだで「気になる本」というエントリをそれなりによく書いていたように思うのだけど、さいきんさっぱりそういうエントリを書いてないな、と思った。その理由としては、たぶん、以下のようなことが考えられる。

まず第一に、こちらアメリカに来てから、というか、いちおう研究機関に所属してからというもの、関連分野の新刊近刊情報ががんがん入ってくるようになった、というのが大きいように思う。これは、一見するとむしろ、「気になる本」が増える結果を招致するようにも思えるが、じっさいには、その新刊近刊情報の多さが、情報のエントロピーを高め、それゆえにそうした高エントロピーな情報から有意な＝気になると思える情報を摘出しづらくさせる。日本にいるころはごく限られた情報源に依拠していたため、そこからの情報の二次選別が容易だったのだ。

次に、こちらのほうがより本質的に思えるのだが、いま書いている原稿にけっこうかかりきりゆえ、他のことがらに関する感度が鈍くなっている、そういうことがあるように思う。何か新刊が出ると聞いても、まずはいまやっているテーマを軸に考えてしまい、そのテーマにあまり関連のない新刊近刊だと、「ま、いいか」となってしまうのだ。これは別様に言いかえると、いま現在の時点で読む本が多すぎて、読むべき本のウェイティングリストに新刊近刊をも加えたくない、という防御的な挙措なのかもしれない。

というわけで、まとめると、何であれ「多すぎる」（とくに前者のアスペクトに関して）というのも考えものだなあ、ということです。