矮小な、あまりに矮小な [かなりダメな話]

だいぶ前から、日本に流通する言説には、それがネットのものであれ、テレビのものであれ、はたまた紙媒体のものであれ、あまりふれないようにしている。というのも、そこで繰り広げられているあれやこれやは、じっさいにはどうしようもない矮小でちんけなことを、さもおおごとめかして語っているようにしかおれには映じないし、そして、そういうどうしようもない矮小な、ちんけなことを、さもおおごとめかして語ることのばからしさには耐えられないから。

もちろん、façon de parlerとしてそういうどうしようもない矮小でちんけなことをさもおおごとめかして語る、ということはありうるし、また、おれにとってはどうしようもなく矮小でちんけに思えることも、それを語るその人にとってはじっさいにおおごとであるかもしれず、さらには、おれにはどうしようもなく矮小でちんけに思えることがじつはじっさいにおおごとであるやもしれず、その場合それはそういうものとして許容できなくはないとも思うのだけど、おおかたの場合、どうしようもなく矮小で、そしてちんけなことを、als obとしてでのそれではなく、また、その語られることの適用範囲がそれを語る人にとどまらず「じっさいに人類の一大事」といった体で語られ、さらに、それがじっさいにおおごとであるにせよそうしたことが何の検証もなしにたんに「既成事実」としてしか提出されない場に出くわすと、「そういうのはもういいや」とどうしたって思ってしまう。

いまのところ、そういう「情報の断絶」が何か不都合をもたらしたということもないし、ゆえに、即自的にはきわめてすこやかな情報生活が送れてはいるのだけど、いまこうしてこれを書いているこのときにも、どこかでどうしようもなく矮小でちんけなことがさもおおごとそうに語られているかと思うと、ちょっとゆううつになる。