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日本で「エリート意識」という言葉が使われる場合、まるで枕詞のように「思い上がった」などの、あまりいい含意を持たない形容辞がいっしょに使われることが多いように思う。つまり、日本的文脈においては「エリート意識=鼻持ちならないもの」というような図式があるのではないか。そういうふうに思う。
しかし、エリートがエリート意識を持つことは、べつだん奇異なことでもなんでもなく、それ自体がわるいことだとはとうてい思われない(同様に、官僚に対して「官僚的」ということがあたかも「悪口」のように言われたりもするが、官僚が官僚的なのは「分析的真理」というものである)。それなのに、エリートが自らを「エリート」と自認すること、さらには、そういう「自認=エリート意識」のあるなしにかかわらず、たんに「エリートである」というそのこと自体が、「何か鼻持ちならないもの」という受けとられ方をしてしまう。
そう考えると、日本でnoblesse oblige的なものが根づかないのもうなずける。何となれば、エリートはエリートであるだけで「思い上がった」存在であり、ゆえに、エリートたる彼ら彼女らは、いきおい息をつめていなければならないのだから(そうした態度はそうした態度で、「卑屈なエリート意識」と言われたりもするのだが)。これは、エリートにとっても、そして、ありえたかもしれないnoblesse obligeの受益者にとっても、損なことである。
だから、エリートはエリートとして、ごくフラットにエリートたることを認めよう。そして、エリートでない人は、エリートに対するその薄暗い感情を捨てよう。するとたぶん、エリートもエリートでない人も、つまりはみんなが、より生きやすくなる。
そういうふうに思う。
また、かつて、完全なまでに官僚養成学校だった東京大学も様変わりして、最近では優秀な連中は軒並み外資系に行きたがるという話も聞いています。
外資系に行けば、上手くいけば30歳にて楽勝で、生涯賃金なんか稼げますしね。
昔、省庁周りしたときに、大蔵省の30歳のキャリア組の人が言ってましたが、「おれは、年収300万、興銀、住友に行ったやつは1000万」って。
それにしても、(今もそうなんだと思うけど、その時聞いたキャリア組の人の)あの異常なまでの時間外労働(家に帰れるのは、週に1日2日で、かつ、土日祭日なし)をこなせるパワーには、敬服するしかありませんでした。勿論、その過密労働も、最後に「天下り」で、ポンポンポンと、何億という単位の収入が保証されていた時代だからこそ我慢もできたとは思うのですが、最近では、その保証がなくなってきたので、どうせ同じ地獄を味わうなら、もっと短期間に、ポンポンポンと金をくれる外資にでも、そりゃ行きたくもなるでしょう。
ですから、今の東京大学の新卒者で、自分は官僚になるという人は、それなりの志がないと、やってられないと思います。
で、エリートとは見なされていない 本庁を歩いてきたノンキャリアの人だって、キャリア組同様に、一生に強いられてきた、とてつもない時間外労働の不払賃金を、最後に「天下り」で清算してくれって思うのは、人の人情として、ある種当然のことで、そういう意味で、本庁の官僚に支払っていない不払い賃金の問題は、民間のそれと比べても、比にならないほど大きいと思います。
しかし、一方、同じ官僚というか、役所でも、あの悪名高い社会保険庁みたいなものもあるし、また、キャリア組にも実際理由の如何を問わず絶対やってはいけない汚職に手を染める人がいたりで、まあ、そんなこんなで、真面目にやってきた官僚の方は、ほんと、不当に低く世間的に評価されていて、本当に可哀そうだと思います。
そして、自分がその手のある種の屈辱に耐えうる拠り所が「エリート意識」なら、そりゃ、ほんと、そんな「エリート意識」には、私なんぞはひたすら敬服するしかないですよ。ほんと、ほんと。
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