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今日、何の気もなしにふとテレビの番組表を見てみたら、以前そのタイトルをエントリ名にいただいたことのある『ペーパーチェイス』がかかることを発見したので、もろもろやらねばならぬことを前だおしに片づけて、観ることにした。

言うまでもなくこの映画は、ハーヴァードロースクールに学ぶ若者群像を描いたものだが、「いかにも教授然」とした教授と、そしてその授業に挑む学生たちが繰りひろげる風景は、ちょっと「人ごとではないな」というものであった。この映画におけるのよりはかくだんにリラックスしたものではあるが、とはいえ本質的には同じ日常を、おれは送っている。

まず、その「いかにも教授然」とした教授(受持ちは契約法)は、開口一番「このクラスは教師が一方的にしゃべるようなレクチャースタイルではなく、ソクラテス方式で行なう」と宣言する。つまり、授業の中心は、教師と学生の(もしくは、学生と学生の)問答である、ということだ。これは、もう、まさしくおれが列席しているゼミの光景である。

そこでは、大学以前までには通用したかもしれない「暗記主体」の、リーディングマテリアルを読んでいさえすれば何とかなる、といったやり方は、ほとんど通用しない。もちろん、基本的な記憶力、そして読解力が要求されることは大前提だが、それはあくまで「最低限」の大前提であって、ほんとうの「始まり」は、読むべきは読み、覚えるべきは覚えた、そこから、である。

その過程で、まさにこの映画と同じように、「覚えること」や、あるいは「ひとりよがりに考えること」をもっぱらにしてしまうものは、どんどん脱落していくことになる。けっきょく、最後に功を奏するのは、正攻法、つまりは「読み、理解し、覚え、そして考える」ことの繰りかえし、これ以外にはない。

そのことをあらためて肝に銘じつつ、おれもおれの「ペーパーチェイス」に戻ることにしよう。

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