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「史上最低のジャケ」(を紹介するページ)を紹介するエントリを書いたおり、zzyさんから、おれにとっての「史上最高」のジャケは何か、というようなことを聞かれた。
そこでのレスでも書いたが、「史上最低のジャケ」についてものした時点で、「史上最高編」も書かねばなるまいな、と思っており、じじつそのことについて思いをめぐらせてはいて、すぐさまその「史上最低編」につづいて「史上最高編」も書くつもりだったのだが、これもzzyさんへのレスで言ったとおり、選びはじめてみるとこれが存外むずかしいことに気づいた。繰りかえしになるが、まず、純粋に美学的(?)観点から選ぼうとしても、どうしても音に引きずられてしまうし、また、そもそも、真空状態で、つまり、音や何やという付随情報を捨象したうえでジャケのみを眺めてみると、あまり大したものがないのである。
だから、あまりその「純粋性」や、それそのものとしての「完成度」にとらわれず、ただただおれにとってそのジャケが何らかの意味で「クる」ものであったかどうかをのみ基準にした。だから、もしかしたらものによっては「史上最低編」のつづきとも言えるものも混入している、かもしれない。しかし、やや詭弁めくが、何かの「よさ」というのは「ひどさ」と裏表であって、いいものもわるいものも、それらがこちらの懐に有無を言わさず飛びこんでくるintensitéという側面から考えれば、同じものである。
なお、選考にあたってはその対象を基本的にヴァイナル盤、つまりはそれなりに大きいサイズで所有しているものにかぎり、CDでしか持っていないものは対象外とした(CDのような小さいサイズから、元のマテリーが持っていたものを判断するのは困難なので)。また、如上のように、ある意味「史上最低」とも言えるものも選ばれており、人によっては「たんなるグロ」と感じるものもあるかもしれないので、閲覧の際にはその点注意していただきたい。
Chance Meeting On A Dissecting Table Of A Sewing Machine And An Umbrella Nurse With Wound (United Dairies, 1979) |
これは、「それそのもの」としてもなかなかいいのではないか、と思う(ぎゃくから言えば、この音盤に収められた音は、他のNWWの音源に比べると、それほど好きではない)。NWWの初期の3枚は、少し無理をしてでもヴァイナルで持っておく価値は、あると思う。
Dogs Blood Rising Current 93 (Durtro Jnana, ) |
これは、そこに収められている音にいささか(かなり?)引きずられているふしもあるが、とはいえ、やはりある種の「意志」を感じさせるジャケである。
Great White Death Whitehouse (Com Organisation, 1984) |
ホワイトハウスはその再発盤の、ペーター・キュルテンをあしらった統一ジャケもそれはそれでかっこいいのだが(とくに、コピーを繰りかえして劣化したような裏ジャケのメンバー写真)、ここではホワイトハウスの「トレードマーク」のようになったGill Kayo Sansがもっとも活きていると思われる、これを。
Graven Image Jandek (Corwood, 1994) |
これは、上で述べた「CD除外」の原則から外れることにはなるが、このジャケ写のただならぬ感じはかなり相当だと思うので、あえて挙げる。
Cop Swans (K. 422, 1984) |
ヴァイナルジャケはその紙質によって大きくふたつに分けられ、ひとつは光沢のある安っぽい紙に印刷されたもの、もうひとつはざらつき重みもある紙に印刷されたものであるが、このスワンズのレコは、おれのなかで「ざらつきジャケ」の代表格、となっている。赤と黒のストライプはややびみょうな気がしないでもないが、中心にあしらわれた桃の写真のなまめかしさは、やはりいい。
Return to Slavery Ramleh (Broken Flag, 1983) |
「元祖グロジャケ」といった趣きではあるが、じっさいにヴァイナルサイズで見ると、それほど「グロ」な感じはせず、どこかスタイリッシュで、そして、ユーモラスでさえある。
Recurring Spacemen 3 (Fire, 1991) |
これの二番煎じと言ってしまえばそれまでだが、音を聴きながらこのジャケを眺めていると、吸いこまれそうになる。
Another Setting Durutti Column (Factory, 1983) |
これもスワンズのものと同様、ざらつきジャケ。そこに水彩で描かれた線描は、その音盤に収められた音と同様、うつろでうつくしい。これがいまではCDでも手に入らないとは!
Tissue of Lies Nocturnal Emissions (Sterile Records, 1980) |
このジャケには、何か言いようのない「力」がある。
田園に死す J.A.シーザー (CBSソニー, 1974) |
この蒔絵のような金地に浮き出る花輪和一の絵は、何とも言えず禍々しい。無理な注文かもしれないが、ぜひヴァイナルサイズで見てほしい。
選んでみて気がついたが、これらはほぼすべて、中高生のとき(じっしつ、ほとんどが中学生のころ)買ったものである。これはたぶん、そのころ買っていたのはまず例外なくヴァイナル盤で、しかも、あまり金もなかったので買ったものを大事に、ジャケなども舐めるように見ながら音楽を聴いていたから、その「すりこみ度」が高いゆえであろう。
イェス、というか、ジャスティンは、ゴッドフレッシュのときからアートワーク的にもいい仕事をしていて、おれが印象深いのは"Streetcleaner"(だっけかな)のインナーの、BW比をWにぐぐっとよせて、女の人の顔がけっこうぶきみなことになっているやつだな(と、そう考えると、イェスでの仕事も、表に出ている部分がいいこともさることながら、たとえば"Conqueror"のレーベル面に印刷された、電線の遠景とか、たまらん)。
このなかで実際にヴァイナルで見たことのあるのは『田園に死す』だけでした。レコ屋さんで展示されているのを見たのですけれど、たしかにインパクトを感じました。
Jandekのなんでもない写真の不穏さもすごいですね。
Swansのアマゾンでのリンク先に飛んだら関連商品としてSPKのアルバムがぞろぞろ出てきたので、そういえばSPKのジャケもすごいのが多いなあと思いました。
『田園に死す』は、じっさいに見るとほんとけっこうクるんですよね。何と言うか、バックの金色も、ぼくのやつがたんに経年劣化しているだけなのかもしれませんが、「くすんだ迫力」とでも言うべきものをかもしていて。ジェンディクも、このアルバムにかぎらず、どれもこれも不穏さがすごいです。
SPKは、かなりさいごまで入れようかどうしようか迷ったんですが、「全部で10枚」という設定(だったのですじつは!)のなかでこれも入れてしまうと、あまりにノイズ系ばっかになりすぎるし、それに、それなりに有名だから除外してしまいました(同じ理由でTGも選外、です)。ちなみに、選ぶとしたらややひねくれて(でもないか)"Auto Da Fe"にしていた、と思います。
で、ノイズインダストリアルは、たしかに本気なのか冗談なのか、よく分からないところがありますよね。カムオルグ一派はまあ、「冗談」というかセルフパロディ入ってることは明白なんですが、C93系は「若気の至りのやや本気」っぽいところがあり、それはそれで好ましいです。
Eyeless in Gazaのこれは、アルバムタイトルとあわせていまいちど見返してみると、何かじゃっかん不穏と言うか、ただならぬ感じもしますね。つうか、彼らのジャケはどれも瀟洒だな。
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