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このまま書かないで忘れてしまうような気がするので、いちおうその要点だけ書いておいてしまおう。



■カントの「演繹」(Deduktion)概念と「反省」(Überlegen, reflexio)概念

Dieter Henrichの、「非常に啓発的」と言うほかない「カントの演繹概念」(Kant's Transcendental Deductions に所収)から学んだこと。

  • カントの「演繹」概念は、現代で言うところの「論理的演繹」とはべつもので、14世紀以来のローマ法の伝統に由来する用法にもとづいている。
  • それは、そもそも、ある法的課題をどう捌くか、ということを主眼としたものであり、そうした課題を議論するうえで、場合によっては「事実 species facti」に瑕瑾があるかもしれないが、それでもそれら法的課題=「法的問い questio juris」は解決されなければならないし、また、解決しうる。
  • カントはこうした法的概念としての「演繹」に自らの試みをなぞらえ、たとえ「理性」に関するspecies factiに欠けがあったにしても、そうした理性に関するquestio jurisには十全に答えうる、と考えた。

こうした観点から純理を読みかえすと、思った以上に法学的アナロジーが目につく。やはり、ごく簡単にでも、カントの生きた時代の法学の状況を軽くおさらいすべき、か。

また、「反省」概念について、くだんのHenrich論文では「(理性についての)探求に先立ち」、「(そうした理性についての)探求が遂行される源」とされているとおり、非常に重要な概念でもあり、リヨタールもその『崇高論』で、"tautegorie"なる耳慣れない術語を用いて論じているのだけど、これらについてはまだこちら側の咀嚼がじゅうぶんではないので、あらためてこれらについて書くとき、ちゃんと記述したい。



■快楽主義の逆理と客観的帰結主義
倫理学ゼミで読んだPeter Railtonの「疎外、帰結主義、そして道徳の要請」にあった論点。

  • 「快楽主義の逆理」とは、ほんとうに「快楽主義」的に生きるためには、言い換えれば、全体としての最大快楽を得るためには、ある時点ある時点で考えると、端的な「快楽主義」を遂行しさることはできない、つまり、「快楽主義」を追求するためには、ある時点ある時点において「快楽主義」を断念しなければならない、というもの。
  • 上の論点の(かなりな)延長として、「客観的帰結主義」というものが主張される。つまり、それの対となる「主観的帰結主義」(上で述べたような「端的な快楽主義」に相当するもの)が、その都度その都度で「自分にとってはこれがいちばん」という選択肢を追求した結果、最終的には(というのは、時間軸的な話というより、「我=汝」という枠組み内で)「最大幸福」が得られない場合があるのに対して、客観的帰結主義は、「何であれ結果オーライだったらいいや」というもので、これは、たとえば帰結主義の反対である義務論などを自らのモットーとして選択することがその人にとっていちばんの「幸福」をもたらすならそれも認めよう、というもの。

このような「客観的帰結主義」は、ほとんど「最強」とも言えるものだが(何しろ、どういう倫理的立場を採るにせよ、それがその人にとって「いい」のであれば、じゅうぶんに客観的帰結主義の範囲内に収まってしまうのだから)、何か納得できない「しこり」のようなものが残る。それは何か? そして、それに対してどういうことが言えるか? それが課題。



■ミルの『功利主義』にある行為功利主義と規則功利主義の諸elementsについて

これはまだ、考え中。とりあえず、通例「ミルの功利主義=行為功利主義」と捉えられる見方に反対したUrmsonの「J.S.ミルの道徳哲学の解釈」とどう向きあうか、そこからはじめよう。

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