借り本 [本]

さて、息抜きだ息抜きだ。

• I.M.D. Littele, A Critique of Welfare Economics, Oxford
• A.M. Feldman and R. Serrano, Welfare Economics and Social Choise Theory, Springer
  厚生経済学もの2冊。リトルのやつは、数式混入率も少なめな、厚生経済学についての哲学的反省、といった趣き。シュプリンガーからのやつは、版元からも容易に想像がつくように、それなりにテクニカルな厚生経済学および社会選択論の教科書。ただ、ぱらぱらとめくった感じでは、それほど敷居は高くない。図書館の厚生経済学のコーナーで実地にいろいろと見てみましたが、最終的にこの2冊がいちばんよさそうでした（アマゾンで"Welfare Economics"で検索して1番目に出てくるこれとかは、そんなよさそうでもなかった）。あとは、ピグーの古典を押さえておくべきかどうか、というところ。
  
  
• Theo Verbeek, Spinoza's Theological-Political Treatise, Ashgate
• Paul D. Cooke, Hobbes and Christianity, Rowman & Littlefield
• F.C. Hood, Divine Politics of Thomas Hobbes, Oxford
  「神の国」から「人の世」へ。この本に刺戟された、スピノザとホッブズの宗教観がどう彼らの政治思想に影響を与えているかについての考察の、はじめの一歩として。ホッブズについては、その宗教観と政治思想のからみあいに関する本はけっこうたくさん出ているのだけど、スピノザについては、もちろんそういう本は出ていないことはないんだけど「これは」という決定打に欠ける（図書館に所蔵がなかったものでは、16世紀オランダの政治状況にスピノザを置きなおしたこれがかなりよさそうだけど）。ただ、ホッブズも、本はたくさん出ているのだけど、たくさん出ているだけにどこから突き崩せばいいのか、なかなかむずかしいところ。とりあえず、プレーン、かつこちらの興味関心に寄りそうところの多そうな、上記の本たちを借りてきた。
  
  
• Thomas Hobbes, Leviathan, Hackett
• Benedict de Spinoza, Theologico-Political Treatise, Dover
  というわけで、本丸。ホッブズの『リヴァイアサン』は、ペンギンエディションが日本にあるのだけど、あらためて図書館でいろいろな版を検討した結果、このハケット版がいちばんよさそう（註の充実度と、聖書からの引用索引が付いていることなど）。スピノザの『神学政治論』は、スノッブに響いてしまうことを承知で言えば、おれはいままでプレイヤッドでスピノザを読んできたので（ただし、その理由は「スノッブ」と言うにはほど遠く、たんじゅんに古本屋で安く買えたからだったりする）、「英語でのスピノザ」というのは少し違和感があるが、やむを得ず、ということで。ちなみに、図書館には所蔵がなかったけど、英語でのエディョンとしては、ホッブズと同じくハケットからのこれがいちばんよさそうです。
  
  
• David Davies, Aesthetics and Literature, Continuum
• Gregory Currie, The Nature of Fiction, Cambridge
  こちらの「やりたいこと」で言及した、ひとはなぜ「うそ＝フィクション」に反応するのか、ということに関する考察の、導きの糸として。フィクション、というか、文学の美学的取扱いというか哲学的取扱いに関する本は、図書館の該当コーナーでいろいろと見ましたが、この2冊が「フィクションと感情」ということについてそれなりに長い章を割いておりました。とくに、デイヴィス本は、そういう側面に限らず、「文学と美学／哲学」ということについての簡便な教科書という感じなので、おすすめっぽいです。