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忙しい人のために。
- ゲーデルは、「デカルトの証明は、神の存在可能性を仮定しているからダメだ!」と言ったライプニッツの衣鉢を継いで、神の存在証明を試みました。
- その大枠の戦略は、まず「神の存在可能性」を証明し、しかるのち、「神が存在することがありうれば、それは必然的に存在する」という命題も証明してから、それらに三段論法を適用することにより「神の存在の必然性」を言おうとする、というものでした。
- ただその証明は、概念的に見ても、また論理的に見ても、問題のないものではありません。
- 概念的な問題点としてはまず、ゲーデルが原始概念として使う「実在的/肯定的性質positive property 」とは何なのか、あまり明確でないことが挙げられます。
- 概念的、および論理的な両面にまたがる問題点として、ゲーデルは証明を行なう論理基底として、S5という、業界内でもまだいまひとつ評価の安定していないあぶなげな系を採用している、ということがあります。
- 上のS5という系に量化子(「ある〜」や「すべての〜」などに相当)を持ち込むと、「現にそうであるものは、必然的にそうである」という命題が成り立ってしまい、いわゆる「道徳」と呼ばれるシステムが崩壊します。
- 論理的な側面に関わる問題点は、ゲーデルの証明に見られる一番致命的なもので、ゲーデルが「前提抜きに正しいこと」として述べた「実在的性質の寄せ集めはまた、実在的性質を構成する」という公理は、ライプニッツがデカルトの証明に対して「こんな仮定を持ち込んじゃダメじゃん!」と文句をつけた「神の存在可能性」と、厳密な意味で同値です。
- ゆえに、ゲーデルの証明もけっきょくはライプニッツの批判を免れることはできておらず、当初のもくろみからすれば、完全な失敗、ということになります。
大略、上の諸点さえ押さえておけばじゅうぶんなのではないかと。もし誰かとゲーデルの神の存在証明の話になったら「ああ、あれね、実在的性質の閉包原理と神の存在可能性がまったく同値だから話になんないよね」とか言っておけば、いい感じにうとましがられてステキかもしれません。
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おお、読んでくださっていましたか。じつは、自分じしんこのつづきものに関して、内容が内容だし、しかもいつ果てるともなくつづいてるしで、じっさいのところ読んでる人はおらんのではないか、と思ってもいたので(とちゅう、にゃんこさんがコメントをくれたことにより、少なくともひとりは通しで読んでくれてるな、とは思いましたが)、ありがたいことです。
ほんとうは、実質的性質の閉包性と神の存在可能性が同値であることを示す部分が、いちばん感動的(?)でいいところだったのですが、執筆者の力不足で成就とは相成りませんでした。日を改めて、その証明に必要な知識の説明も含め、この同値性の証明は紹介できたらな、と思っております。
それはそうとzzyさん、もしかしてこの手のこと(って、ものすごくザッパクなくくりですが)勉強してらっしゃいます?
ほんとうは、実質的性質の閉包性と神の存在可能性が同値であることを示す部分が、いちばん感動的(?)でいいところだったのですが、執筆者の力不足で成就とは相成りませんでした。日を改めて、その証明に必要な知識の説明も含め、この同値性の証明は紹介できたらな、と思っております。
それはそうとzzyさん、もしかしてこの手のこと(って、ものすごくザッパクなくくりですが)勉強してらっしゃいます?
はやしさんありがとうございます。
論理学を勉強したかという意味では「いいえ」になります。
僕は法学から思想に入り、哲学をほんの少しかじっているような感じです。
ちょうど最近はベンヤミンの言語論を読み、論理学とまでは行かなくとも、厳密で説得力を持った言葉の使い方/使われ方というものに興味を持っていたところでした。あきらかに畑違いの楽しみ方のようで申し訳ないですが、今回の読解は楽しかったです。
論理学を勉強したかという意味では「いいえ」になります。
僕は法学から思想に入り、哲学をほんの少しかじっているような感じです。
ちょうど最近はベンヤミンの言語論を読み、論理学とまでは行かなくとも、厳密で説得力を持った言葉の使い方/使われ方というものに興味を持っていたところでした。あきらかに畑違いの楽しみ方のようで申し訳ないですが、今回の読解は楽しかったです。
なるほど、そのzzyさんのバックグラウンドというか、楽しんでいただけた理由を見るに、「畑違い」どころか、ぼくがこれを書いたモチヴェーションにひじょうに近いところがあるように思えます。というのも、「番外編その2」でも言いましたが、ゲーデルの言っていることが正しいのか正しくないのかということは度外視して、そのそもそもの言うところをぎちぎちと析出させ、そしてそれをまたぎちぎちと検討する、その方途にこそ関心があったわけで、となると、ここで問題になっていたのはまさに、zzyさんの言う「厳密さ」と、そして「説得力」であったわけですから。
ベンヤミンの言語論に関しては、ぼくも深甚なる興味をいだくものでありますので、いつか機会があれば、そのことについてもちょっとおしゃべりできたらな、と思います(というか、ベンヤミンの『暴力批判論』読解も中途でほっぽってあるのに、という感じですが)。なもんで、zzyさんも、ご自身のブログでベンヤミン語りをしはじめるのもちょっと違和がございましょうから(いや、それはそれですてきかもしれませんね)、その折にはぜひがっつんがっつんご意見を述べていただければと。
ベンヤミンの言語論に関しては、ぼくも深甚なる興味をいだくものでありますので、いつか機会があれば、そのことについてもちょっとおしゃべりできたらな、と思います(というか、ベンヤミンの『暴力批判論』読解も中途でほっぽってあるのに、という感じですが)。なもんで、zzyさんも、ご自身のブログでベンヤミン語りをしはじめるのもちょっと違和がございましょうから(いや、それはそれですてきかもしれませんね)、その折にはぜひがっつんがっつんご意見を述べていただければと。
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