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ここ最近、おれにしてはめずらしくフィクティヴなものを読んでいる。

そうしたなかでの筆頭格は、やはり『ゴーレム100』だろう。「高踏的でありながら通俗。実験的でありながら娯楽作。華麗でありながら悪趣味。軽薄でありながら重厚」というベスター節をぞんぶんに堪能している。物語自体のおもしろさにドライヴされながら読み進めつつ、細部への目配せもないがせにはできない書きっぷり。

あと、『カラマーゾフ』は第1巻だけ読了。ドスちゃんもじつは、上で言ったベスター節の特性を有する作家で(というか、「大作家」と呼ばれる人は誰だってそうなのだが)、物語の力でまずは読者を組み伏せて、それからとんでもない世界に有無を言わさず連れ去ってしまう。

そうした「重厚長大」なもののあいまに、『岩波現代短歌事典』をぱらぱらめくりながら、目にとまったひとつの歌に、とりとめもない考えを泥ませたり、その流れで、『シンジケート』をアメリカにおいてきてしまったのであらたに買いもとめた穂村弘のベスト歌集『ラインマーカーズ』に収められたつぎのような歌を読んで、よい気持ちになったりしている。

錆びてゆく廃車の山のミラーたちいっせいに空映せ十月

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カラマーゾフ、あれは何度も読みたくなる。読めば読むほど好きな作中人物をもっと知りたくなり、嫌いな作中人物はもっともっと嫌いになっていきます、私の場合。フョードルが殺されてからのあの時の流れは濃いですよね。ドストエのもう一つの楽しみ方は、彼が書き上げたどの作品より、彼自身の実際の人生の方がはるかに「激しい」ところだったりして、とにかく『罪と罰』以外は死ぬまでに後何回読めるか楽しみです。でも、『罪と罰』は前もちょっといったかもしれないが、おもしろいんだけど、再読させない変な力が宿っている小説なんですよ、私にとって。なぜか? 全然わかりません。誤記勘弁
英司 2007/07/16(Mon)19:30:00 編集
ゴーレム100もう一度読みたくなってきた
あの作家は冷めた人な気がします
ぶらふまん 2007/07/16(Mon)19:43:00 編集
カラマーゾフにかぎらずドストエフスキーの作品というのは、人物造形の巧みさもさることながら、そうした諸人物の上に広がるアトモスフィアみたいなものがちゃんと書けてるのがすごいですよね。これは、ドストエフスキーを語るときに「個々人ではどうしようもできない運命の波に云々」といったふうに言われたりもすることですが、やはりそれを、端的に「個々人ではどうしようもできない運命の波が云々」と書くのではなく(そんなやつがいたらたんじゅんにバカでしょう)、文章の集積が不可避的にそういう「波」を現出させてしまう、そこがすごいところです。
はやし 2007/07/17(Tue)05:43:00 編集
あたらしいエントリでも書きましたが、『ゴーレム100』は読み終わるとすぐさま、頭から、というのではないにせよ、すぐさま読みかえして色んなことをチェックしたくなってくる小説、ですよね。

こういう物語内容、そして物語言説をつむげる人は、ぼくの偏見からすると「あったかい人」ではありえない、という感じがしますので、「ベスターはつめたい人」というぶらふまんさんのご意見に同感です。
はやし 2007/07/17(Tue)05:46:00 編集
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